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自閉症の子どもたちを嘘やニセ医療から守る。なぜ信じるのか?

time 2023/07/29

この記事を読むのに必要な時間は約 7 分です。

自閉症の子どもたちを嘘やニセ医療から守る。なぜ信じるのか?

過去5年間に、健康に関する誤情報と有害な製品がSNSで販売されるケースが爆発的に増加しました。
とくに、自閉症などの子どもたちの親がこれらの製品を購入し、子どもたちの「治療」を試みることで、深刻な事態になっています。
現在、カナダ政府は対策を検討しています。

私が自閉症のソーシャルメディアグループを5年間研究し、取材してきた結果、自閉症の誤情報はますます多くなっています。
Facebookの「自閉症を治す」親のグループに参加すると、錬金術師のような人たちが次々と、漂白剤の液滴(MMS)、ラクダのミルク、キレーション療法、ホメオパシーのCEASE「療法」(ワクチンと抗生物質が子どもから解毒すると主張)、葉緑素、糞便カプセル、規制されていない血液製剤のGcMAF、テレビン油、イベルメクチンなどの製品を販売しています。

これらはいずれも自閉症を治療することはできません。
販売業者の主張は事実とは反するものです。

ラジオ、テレビ、メインストリームメディアとは異なり、ソーシャルメディアではこれらの有害な製品の販売に対する明確な政府規制がほとんどありません。
また、SNS運営企業は、これらの有害なコンテンツを告発しても、ほとんど削除しません。

こうした、オンラインの健康詐欺師は、パンデミック中に多くの注目を集めました。
彼らは偽の自閉症治療製品を新型コロナの治療薬として転用しました。
偽の自閉症治療、新型コロナまたはがん治療、どれも手口は同じです。
これらの販売業者は、病気や状態の謎を利用し、我々が知らないことに付け込み、彼らには答えがあると主張します。

とくに、自閉症は彼らの策略にとって「理想的」です。
新型コロナやがんとは異なり、自閉症にはバイオマーカーがなく、行動の観察に基づいて診断されます。
そして、自閉症の原因はわかっていませんが、親は答えを求めています。
そこに、原因を発見したと主張し、販売をする詐欺師たちが登場します。

自閉症に対しては、スピーチ・言語療法や作業療法など、エビデンスに基づく治療基準が存在しますが、これらは自閉症を消去または治療するものではありません。
これらは自閉症の人の生活の質を改善するためのものです。

治療を求める親に対して、詐欺師は自分たちの製品に焦点を当てた「サポート」のオンラインコミュニティを設けています。

こうしたなかで、最も悪名高いのは「ワクチンが自閉症を引き起こす」という「嘘」です。

ウェイクフィールドによって広められたこの嘘は、陰謀論的なトーンを帯びるようになり、人々を引き込みました。
多くの親は「彼が医者であり、研究者だから」とウェイクフィールドを信じました。
さらに、「彼は魅力的でカリスマ性があり、熱心で信じる者だった」という印象が恐怖と無力感を抱える親たちを引き寄せたのです。

ウェイクフィールドの「嘘」がランセット誌で撤回されるまでの12年間、「解毒」をうたう一連の製品によって、自閉症の子どもたちは「毒で壊れた」という情報が広がりました。

経口および静脈内キレーションの売り手、およびMMSの売り手は、それらは自閉症を引き起こすとされる毒素を除去するのだと主張しています。
糞便移植の売り手は、自閉症でない人の糞便を子どもの大腸に注入することで、自閉症を克服できると主張しています。
幹細胞の詐欺師も同様の主張をしています。

しかし、これらの注入による「解毒」が自閉症の子どもを治療できるという証拠はありません。

自閉症の嘘、誤情報についての議論では、犠牲となる子どもたちのことがしばしば忘れられます。
私たちは大人として、これらから子どもたちを守らなければなりません。

しかし、Meta、TikTok、Twitter、Telegramなどの企業が彼らのプラットフォーム上のワクチンと自閉症に関する誤情報を制御しなければ、誰にそれができるのでしょうか?
カナダのスタンリー・カッチャー上院議員は、この問題に答えようとするカナダ人の一人です。

「カナダには健康に関する誤情報と戦うための一貫したまたは政策指向のアプローチがありません。
ホメオパシー製品のラベル表示などの規制が進んでいますが、これらは何かと付け足し合わせたものであり、不十分でしょう」

カッチャー上院議員は最近、「健康情報の誤情報、カナダ人への影響、および可能な対策」に関する調査を行うことを目的とした提案を上院に提出しました。
順調に進めば、これは今年の秋に上院で議論される予定です。
また、「自閉症などの「治療」をうたう製品やサービスを、正しく評価するための簡単にアクセスできるオンラインリソースの作成についても議論を開始したいとしています。
イギリスでは、すでにNICEプログラムを通じていくつかのガイドが開発されています。
米国では、食品医薬品局も自閉症の偽製品を見分ける方法に関する教育情報を提供しています。

カッチャー上院議員は公共教育も必要だと指摘しています。
そもそも、製品への需要がなければ、「嘘」の販売業者は利益を得られません。

「漂白剤やテレビン油、イベルメクチンなどが自閉症(または人間の何か他の病気)を治療すると信じるようになった親たちの動機を、私たちは深く掘り下げ、医療当局に対して信頼をしなくなった理由を理解する必要があります」

パンデミックの後、私たちは今や真実を超えて危険な方向に向かっていると言えるでしょう。
私はもはや「科学 VS エセ科学」という考えで片付けてはいません。
説得に必要なのは、検証や事実のリストではなく、より心に届く物語です。
情報を「思いやりと感情を持って」人々に伝える必要があるのです。
私たちにはデータでは測れないところがあります。

たとえば、健康への誤情報に対して脆弱な自閉症の家族の内なる感情がそれにあたるでしょう。
絶望した家族が、自閉症の子どもたちに有害な「治療」を試しているという事実は、SNSで多く見受けられます。
規制と取締りは重要です。
しかしまず、なぜ、人々が誤情報に動かされてしまうのかを理解しなければなりません。

(出典:加healthy debate )(画像:Pixabay

どうして、それを信じてしまうのか。

そこまできちんと検討しなければ、正しく設定ができずに規制の効果も薄まることも、言うまでもないでしょう。

「アーミッシュに自閉症の子どもはいない」完全な嘘、デタラメ

(チャーリー)


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