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自閉症の生徒へのリモート学習、デジタル。変わる特別支援学校

time 2021/02/20

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自閉症の生徒へのリモート学習、デジタル。変わる特別支援学校

新型コロナウイルス感染拡大に対応してのオンラインリモート学習が行われるずっと前から、神経多様性のある生徒の教育を改善する方法が模索されていました。

米アリゾナ州自閉症チャータースクールは、発達障害、自閉症の生徒のために取り組んできました。
パンデミックの何年も前から、学習をよりアクセスしやすくするために、デジタルツールの利用方法検討してきたと、創設者でありディレクターのダイアナ・ディアス・ハリソンは言います。

昨年の春にパンデミックが発生したとき、連邦政府や非営利団体からの助成金で賄い、同校は350台以上のパソコンの購入や遠隔学習やハイブリッド学習中の生徒のためのWifi整備などに資金を投入しました。

生徒はZoomやGoogle Classroomを利用して、先生と1対1や少人数のグループでリモート授業や、言語療法士や作業療法士からの療育も受けることができるようになりました。
必要な生徒には、Apple Pencilを搭載したiPadが配布されています。

これらによって、生徒とのコミュニケーションの新しい方法が作られ、先生は自宅から生徒へ授業を行うこともできるようになりました。

そして、デジタルツールは生徒が新しいスキルを学び、発揮するための新しい道を開くことができるものだとハリソンは考えています。

「テクノロジーは障害をかかえる子どもたちにとって、より重要なものになります。
言葉を話せない子どもたちの中には、iPadだとコミュニケーションをとれる子もいます。
iPadが、彼らの声になっているのです」

米国疾病対策予防センターによれば、米国では少なくとも54人に1人の子どもが自閉症スペクトラム障害と診断されています。
さらに、これらの生徒の約3分の1が知的障害と感覚処理の問題もかかえています。
言葉や文章でのコミュニケーションの難しさを、多くの自閉症の生徒がかかえています。

アメリカ学習障害者協会のエグゼクティブディレクターであるシンシア・チポレッティによれば、注意力と実行機能のスキルに苦戦している多くの生徒も、デジタルデバイスは好んで使うといいます。

アリゾナ州自閉症チャータースクールで見られるような、直感的でナビゲートしやすいプラットフォームやツールを利用することは、これらのコミュニケーションの難しさを軽減することにも役立つでしょう。

「学習に困難をかかえる生徒の多くは、特定のスキルの不足に対処するために、1対1または少人数のグループ指導を受けています。
この指導の間、特別支援の先生たちはしばしば手を動かしたり、感覚を刺激する活動を利用します」

アリゾナ州自閉症チャータースクールでは、インテル社からの寄付により、ロボット工学やコーディングプロジェクト用のレゴキットが100個以上生徒に提供しています。
これらは、生徒の問題解決能力を向上させる授業で役立っています。

「問題解決能力は、伝える授業だけでは教えるのが難しいのですが、インテル社との提携によりレゴキットで体験して学ぶことができるようになりました。
神経多様性のある子どもたちにとって、このレゴキットでの学びは輝く機会になっています」

National Center for Education StatisticsとPew Research Centerによれば、米国では2018−19年度に700万人以上の生徒が特別支援教育を受けています。
学習障害、自閉症、言語障害が特別支援教育を受ける最も多い理由となっています。

National Center on Accessible Educational Materials の技術支援専門家であるルイス・ペレスは、特別支援を必要とする学生のためにオンラインレッスンを設計することは、これまで対面で行っていたことをただオンラインにすることではないと指摘します。

むしろ、オンライン、デジタルデバイスの利用は自閉症などの生徒にはメリットがあるもの。
そのため、よく検討するべきだといいます。

「『ふつう』の学校教育が、すべての生徒一人ひとりに良いものだとは言えないでしょう。
それが現実です。
なので、私はこの新型コロナウィルス感染拡大の結果として変化した教育方法を、それぞれの生徒にあわせてより柔軟に考えることを期待しています」

技術開発者や教育者の中には、拡張現実やバーチャルリアリティのプラットフォームが将来的に普及することで、学校の授業がどのように強化され、豊かになるかを検討している人もいます。
しかし、これらのプラットフォームの中には、とくに自閉症に関連した感覚処理障害を持つ生徒にとっては、感覚的な過負荷を引き起こす可能性があるものもあります。

学校ネットワークコンソーシアムのスポークスウーマン、クリスティン・フォックスは学校や地区の技術担当者は、特別支援教育カリキュラムの開発者と協力して、デジタルデバイスの最良の利用方法を考えるべきだといいます。
例えば、多くのデバイスで一般的に使用されている音声読み上げ機能やスクリーンリーダーを備えたシンプルで費用対効果の高いツールを利用すれば、感覚や認知に問題のある生徒の指導をより良いものにできると考えています。

「教師が45人の生徒がいる教室を一人で回り回って、それぞれの生徒に個別に対応できないときなど、テクノロジーが特別支援を必要とする生徒を助けるのに役立ちます」

昨年3月、新型コロナウィルス感染拡大のために、このアリゾナ州チャータースクールはリモート学習への切り替えを余儀なくされました。
このような変化は神経多様性のある生徒にとっては、簡単なものではありませんでした。

リモート学習で、生徒に読み聞かせをしたり、指示を繰り返したりするときには、親の支援が必要となることがあります。
そうなれば、親へのサポートも必要となります。

アリゾナ州自閉症チャータースクールのITディレクター、ダン・マッカーティは、学校は生徒の特定のニーズを満たすために個別のツールやアプリプログラムを提供するよう努め、常時家族ともコミュニケーションをとることが必要だったといいます。
また、ITに詳しいスタッフを雇い、トラブルシューティングのためのホットラインも設置しました。

「飛びながら飛行機を作っているような感じでした」

学校の調査では、家庭の約30%近くが、新型コロナウィルス感染拡大終了後もリモートでの学習を希望しています。
ハリソンは教育が、新型コロナウィルス感染拡大前の状態に戻ることはもうないと考えています。
このアリゾナ自閉症チャータースクールのような学校で学ぶ生徒が増えていくと考えています。

「特別支援を必要とする生徒や神経多様性のある生徒が、リモートで学ぶ時代の扉が開いたと思います」

そしてインテルからのレゴブロックのようなデジタルデバイスで学ぶことは、そうした生徒たちへのキャリアの入り口としても役立つはずです。

「技術的なことを学びプロジェクトベースの学習をすることで、将来必要とされるスキルを身につけることができます。
従来のペンと紙の教室から離れ、技術を学ぶ機会を提供するのは、とても意義があることです」

(出典:米government technology)(画像:米Arizona Autism Charter Schools

リモート学習、リモートワーク。

コロナ終了後も普及は続くでしょう。

多いメリットが理解されましたからね。

リモート学習、在宅勤務がプラスになった自閉症の人も多い

(チャーリー)


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