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自閉症の人にとってメリットある「リモートワーク」機会の減少

time 2023/05/09

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自閉症の人にとってメリットある「リモートワーク」機会の減少

多くの企業が従業員のオフィス復帰を義務付ける中、自閉症の従業員の多くは、長年リモートワークでオフィスでの仕事の社会的プレッシャーを軽減してきたにもかかわらず、取り残されたと感じるかもしれません。

ポーランドで行われた小規模な研究によると、自閉症の労働者のグループは、リモートワークによって、感覚過敏や集中的な対人交流やコミュニケーションの制限、柔軟な勤務時間の提供、通勤の必要性の排除といった恩恵を受けたと報告しています。

専門家によれば、すでに雇用の確保や維持が困難になっているこれらの労働者の多くにとって、職場復帰の要件は生産性や仕事の満足度に影響を与える可能性があります。

しかし、雇用主がそれを変えられます。
米シカゴ専門心理学大学院の非常勤教授であるジョイ・F・ジョンソンはこう述べています。

「自閉症の人が生産性を維持できるのであれば、どこで仕事をしようが関係ないでしょう」

ジョンソンは3年前、彼女のように自閉症スペクトラムを持つ人たちをサポートするためにスペクトラム・サポートを設立しました。
ジョンソンは、パンデミック時に人気が高まった在宅勤務で、偏見をもたれることなく仕事ができるようになったと感じています。
リモートワークでは、自閉症の労働者が定型発達の同僚と自分を比較することを避けることができます。

「リモートワークは、同僚と同じレベルで仕事をするためのスペースを与えてくれます。
自閉症の人が、自閉症の人のためにできていない世界で苦労する必要がありません」

たとえば、ジョンソンは自宅では感覚的な問題にうまく対処することができます。

「リモートワークでは、暗闇の中でウェイトブランケットを使いながら、仕事ができるのです」

しかし、そうしたメリットがあるリモートワークの機会が減りつつあります。
ピュー・リサーチ・センターの調査によると、米国では2月には、出社もしなければならない労働者の割合が、リモートで働く労働者よりも高くなり1年前とは逆転しています。

これは、自閉症を持つ人たちにとって大きな問題です。
米国では約500万人が自閉症と診断されています。
これまで、雇用されることも困難でした。

ドレクセル研究所の研究によると、自閉症スペクトラムの若者のうち、正規雇用の職につけるのは58パーセントです。
自閉症の擁護団体であるオーティズム・ソシエティの調査では、自閉症の大卒者のうち85パーセントが失業状態にあります。

就職活動のスタート時に障害が影響することもあります。
自閉症スペクトラムの人たちはそれぞれ異なるため、必ずしも同じ経験をするわけではありませんが、面接のプロセスなど、就職活動の進展を妨げる共通の要因もあります。

「何度も面接に失敗して、ただただ落胆していました」

そう、米シカゴで発達障害の人たちを品質保証のソフトウェアテスターとして育成する組織、アスピリテックの品質保証マネージャー、ジャスティン・ユングストは言います。

自閉症スペクトラムの労働者の多くは、面接中に直接目を合わせなければならないことにストレスを感じ、それが侵略的だと感じることもあります。
就職の面接では、自閉症であることや本当の自分を隠さなければならないと感じることが多かったとユングストは指摘します。

「面接のために偽り、演技をしたくありません」

自閉症の人が仕事を得たとしても、社会的な合図を見逃したり、同僚とのコミュニケーションがうまくいかなかったりして、仕事を続けることが難しいかもしれません。
しかし、リモートワークがその軽減に役立ってきました。

また、多くのオフィスはオープンな空間設計になっており、静かでプライベートな空間を必要とする自閉症スペクトラムの社員にとっては、うるさすぎることがあります。
また、オフィスでは社交性が重視されることが多く、発達障害のある社員にとっては圧倒されるかもしれません。

「ほとんどの時間、私はただコンピューターに向かい、ウエイトブランケットを巻いて、仕事に集中したいのです。
しかし、オフィスではそれはできません」

自閉症の人は職場で問題に遭遇することもありますが、貴重な社員となる資質をたくさん持っています。アスピリテック社の最高マーケティング責任者であるブラッド・コーエンは自閉症の人たちは雇用主が求める多くの特性を持っていると語っています。

「自閉症の社員は長時間集中でき、繰り返しの作業にも飽きず、細部にまで気を配ることができます」

すべての自閉症の社員がアスピリテックの社員のように複雑なソフトウェアテストを行えるわけではありませんが、どんな仕事でもその献身的な姿勢を発揮することができます。
ユングストは、品質保証のための検査が大好きです。
この有意義な仕事に巡り合えたことを幸運に思い、仕事に没頭していると述べています。

「私はこれまで、ただ時計を眺めているような仕事をたくさんしてきました。
今は、常に忙しく、頭を使って解決策を考えています」

自閉症の人にとってリモートワークは有意義な選択肢の1つです。
しかし、彼のような自閉症の労働者の中には、オフィスで他の人と一緒に働くことで得られるコミュニティを求める人もいることを指摘します。
また、どうしても出社しなければならない場合、企業は自閉症の人たちを歓迎するオフィス空間を作る方法もあります。
オーティズム・ソシエティのチーフ・マーケティング・オフィサーであるクリスチャン・ロスはこう言います。

「難しいことではありません。
たとえば、光に敏感な労働者のために照明を落とすことは効果的です。
職場で、アイコンタクトを必要としない方法もさまざまあります」

アスピリテックのコーエンは、他の労働者と協力し、オフィスで働きたいと考える自閉症の労働者に対応するため、就業時間を変則的な時間帯にも対応していると言います。

「パンデミックの最中でも、自閉症の従業員には安全に門戸を開いていました」

自閉症の従業員がオフィスで働かなければならない場合には、簡単に配慮をすることができると言います。
ただ、そのような従業員には働きかける必要があります。

「雇用主は、自閉症の従業員を見つけて話を聞く必要があります」

ジョンソンは、自閉症の従業員側も配慮を求めてよく、自己鎮静化行動を隠す必要はないと述べています。

「私は、自閉症の従業員に対して、自分を落ち着かせるために必要な刺激(自己刺激)をするなとか、腕をバタバタさせるなとは言いません。
必要であれば、別の部屋で刺激できるような配慮を求めるように従業員に言っています」

ロスは、オフィスに人を呼び戻すことが重要であるならば、すべての従業員に対応できるようにワークスペースに小さな変更を加えることが企業の責務であると言います。

「自閉症の人を意識するだけでは不十分です。
充実した生活を送るためのあらゆる機会に積極的に参加させる受容を実践しなければなりません。
自閉症を持つ労働者が、生計を立て、自信を持ち、より大きなコミュニティを築くための選択肢を持つことを望んでいます」

(出典:米yahoo)(画像:Pixabay

リモートワークのほうがいい。

そういう方は多いと思います。

良い変化は続いてほしいと考えます。

リモート学習、在宅勤務がプラスになった自閉症の人も多い

(チャーリー)


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