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マスキングで悪影響を受ける自閉症の人へ研究が役立つためには

time 2021/02/22

この記事を読むのに必要な時間は約 4 分です。

マスキングで悪影響を受ける自閉症の人へ研究が役立つためには

自閉症の人のマスキングとは、より社会的に受け入れられると考えられる行動をとろうと、自閉症にともなう行動を抑制することです。

“Autism in Adulthood”に掲載され研究論文では、著者らはマスキングの包括的な概要を提供し、今後の研究の方向性を示唆しています。

マスキングは不快に感じているにもかかわらずアイコンタクトをとったり、自閉症への偏見を恐れて特別な関心事について話し合うことを避けたりするなど、さまざまな行動を含みます。
この研究ではマスキングは主に自閉症の人たちのかかえる疎外感から生ずるという仮設を立てています。

自閉症の人たちに行った調査では、いじめ、ハラスメント、および孤立の経験が頻繁にあることが明らかになっています。
医療分野でさえも、自閉症の特徴は、理解されたり、受け入れられたりするものでなく、「治すべき」症状として考えられることがめずらしくありません。

「自閉症の人たちは、学界でも、社会一般でも、人間の規範性の境界線上にあると見られてます」

そう、この研究者は書いています。
このように、自閉症の人のマスキングは、「普通になりたい」という願望の結果であり、いじめなどの外部ストレス因子を避けたいという願望の結果です。

しかし、マスキングは、重大なストレス、燃え尽き、さらには自殺行為と関連します。
たびたびマスキングを行った結果、ストレスを認識したり調節したりすることもできなくなります。

この研究者はマスキングが自閉症と関連することが避けられないことを認め、マスキングによってネガティブな影響を受けた人たちのストレスを軽減する方法の研究を求めています。

すでに疎外感によるストレスを受けている自閉症の人が、さらにマスキングによってストレスをかかえることは難しい状況をもたらす可能性があります。

自閉症の診断における性差はよく知られています。
自閉症の男性と自閉症の女性の比率は4対1となっています。

女性が男性よりもマスキングををする傾向が強いかどうかについて、決定的な研究はまだありませんがいくつかの研究では、自閉症の女性は自己申告した自閉症の特徴と観察された自閉症の特徴との間に大きな違いがある可能性を示唆しています。

既存の自閉症の測定基準は、自閉症のなかでも「非定型」な症状を持つ人を除外している可能性が高くなっています。
自閉症の人が観察者にとって「どのように見えるか」というのは、自閉症のステレオタイプに依存します。
つまり、このステレオタイプと異なる自閉症の人も、マスキングをしていると見られる可能性があります。

より良く自閉症の人たちの全スペクトルに対応するためには、マスキングと自閉症の特徴の両方の研究をさらにおこなうことをこの研究者は提唱しています。
自閉症の特徴とアイデンティティとの関係は複雑です、これまでの自閉症の研究では適切にそれが考慮されていないことが多くありました。この研究者はこう言っています。

「今後の研究では、マスキングにつながった外部からの圧力とそれが影響を考慮すべきです。
これらのプロセスと結果の関係は、マスキングによって精神的健康に悪影響を受けている人たちにより良いサポートを提供するためうえで重要なはずです」

(出典:米Psychiatry Advisor)(画像:Pixabay

人の多様さを受け入れ、マスキングをする必要が少なくなる。

そんなふうに人や社会が変わってほしいと願います。

きっとそのほうがみんな楽しく、社会も進歩するはずです。

自閉症の女性のマスキング。自分が誰なのかわからなくなった

(チャーリー)

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