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自閉症の女の子のほうが男の子より遺伝子変異が多かった。研究

time 2021/04/18

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自閉症の女の子のほうが男の子より遺伝子変異が多かった。研究

女の子よりも男の子の方がはるかに自閉症であることが多いこと、そして女の子はその状態を発症することに対してより強い回復力を持っているように見えることは広く知られています。
しかし、その理由は不明でした。

米イェール大学が主導する新しい研究では、自閉症が男の子よりも女の子で、脳のさまざまな領域で発症する可能性があり、自閉症の女の子は男の子よりも障害につながる多くの遺伝子変異を持っていることを発見しました。

調査結果は”the journal Brain”に掲載されています。
イェール大学医学部の小児科助教授であり、研究の筆頭著者であるアブハ・グプタ博士は、次のように言います。

「機能障害が発生する可能性のある場所を見つけることが重要です。
これにより、脳内のどこを見ればよいかがわかります。これについて正確である必要があります」

この研究には、米ジョージメイソン大学のアリソンジャック博士と米バージニア大学の脳研究所(および以前のイェール大学医学部)のケビンペルフリー博士も参加しています。

自閉症スペクトラム障害(ASD)は、相互作用、コミュニケーション、そして学習の能力を妨げる可能性のある発達障害です。

自閉症スペクトラム障害の人は増えていて現在、米国の54人に1人の子どもがそうであると推定されています。
男の子は女の子より4倍、自閉症と診断を受ける可能性があります。

自閉症が女の子よりも男の子に頻繁に影響を与える傾向がある理由について、難しくしているのは、ほとんどの研究が男の子ばかりに頼ったものになっている事実からだとグプタ博士は指摘します。

今回の研究では男の子と女の子の数はバランスがとれています。
8歳から17歳の、自閉症の45人の女の子と47人の男の子、自閉症でない45人の女の子と47人の男の子が参加しました。

研究チームは、自閉症の子どもとそうでない子どもの脳が、人間の動きをどのように処理しているかに着目しました。

自閉症の子どもたちは、社会的な合図を容易に受け取ることができず、反応を読み取るのが難しいとされています。

主に男性を対象とした過去の研究では、聴覚や視覚刺激の処理に関与すると考えられている「上側頭溝後部」と呼ばれる脳の一部が、発達障害などをかかえていない子どもでは、社会的認知おいて活発になりますが、自閉症の子どもではそうならないことがわかっています。

研究チームは、機能的磁気共鳴画像法と呼ばれる脳画像技術を使用して、上側頭溝後部が自閉症の「神経サイン」を構成するという、一般的に認知されていることが主に男の子には当てはまることを発見しました。

しかし、女の子に対して行われた脳画像の解析では、認知、報酬、協調運動を制御する線条体と呼ばれる脳の別の領域が関与していることがわかりました。

また、自閉症の少女が線条体領域でコピー数多型として知られているより多くの遺伝子突然変異を持っていることも発見しました。
これは、女の子が自閉症を発症する場合、より多くの遺伝子変異を必要とすることを示唆しています。

遺伝子解析により、これらの違いをさらに詳しく調べました。

「サイモンズ・シンプレックス・コレクション」(自閉症の子どもが少なくとも1人いる2000以上の家族からの遺伝子データベース)のデータを調べたところ、やはり自閉症の女の子の方が、脳の同じ領域(線条体)で発現する遺伝子を含むコピー数多型の変異が多いことがわかりました。

グプタ博士は、この研究結果は、女性の自閉症の神経プロファイルの手がかりを示し、女の子の自閉症を少なくしている「女性の保護効果」を明らかにするのに役立つはずと言います。

「自閉症になりにくい人の特徴を理解し、このような保護作用をうまく利用して、自閉症の人を助けることに活用したいと考えています」

グプタ博士は、今回の研究に参加した人たちの全遺伝子を解析することによって、さらなる遺伝的な特徴を見出し、男性と女性の自閉症に関わる、脳の構造について研究を今後する予定です。

(出典:米イェール大学)(画像:Pixabay

自閉症の男性と女性の数の大きな違いは、自閉症のかたちが異なるから、という指摘もこれまでに多く見受けます。

いずれにせよ、過ごしていくなかでかかえている困難を小さくする、なくす、ことにつながっていく研究がされることを願っています。

自閉症の女の子が少ない理由「女性の保護因子」に対する研究

(チャーリー)


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