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自閉症の幼児の多くは「幼児語」に関心を示すことがない。研究

time 2022/01/06

この記事を読むのに必要な時間は約 6 分です。

自閉症の幼児の多くは「幼児語」に関心を示すことがない。研究

自閉症の乳幼児では、脳が幼児語に同調しないことが多いという研究結果が発表されました。

幼児語とは、親が新生児や幼児とコミュニケーションをとるために使う、簡略化され、誇張されたメロディーのような音声のことです。
馬は「ホーシー」、犬は「ドギー」、親は「ママ」「ダダ」、そういった言葉です。
このような短い歌のようなフレーズで話す傾向は、文化圏を問わない普遍的なものです。

これまでの研究で、乳幼児は大人の話し言葉よりも、より正式には「幼児主導型音声」と呼ばれる幼児語を好んで聞くこと、より効果的に親は注意を引き、感情的な絆を深め、親子間の学習体験を促進することが分かっています。

今回の研究では、自閉症スペクトラム(ASD)児の初期症状には、幼児語に対する反応の低さと、社会的情報に対する持続的な注意の欠如があることがわかりました。

米カリフォルニア大学サンディエゴ校医学部の研究チームが”Nature Human Behavior”に発表した新しい研究では、さまざまな手法を駆使して、子どもの幼児語への反応に関わる脳の領域を突き止めました。

「最先端の脳イメージング、アイトラッキング、臨床検査を組み合わせたこの新しい研究は、自閉症の精密医療への扉を開くものです」

そう、今回の研究を行ったカリフォルニア大学サンディエゴ校医学部の神経科学教授、エリック・カーチェンス博士は語っています。

この研究のようなアプローチにより、社会的嗜好や社会的注意に関する客観的情報に関連する自閉症の子どもたちの脳の発達状況について、新たな知見が得られるとも述べています。

「私たちは初めて、社会的情報に注意を払わない自閉症の子の脳にどのような影響が及んでいるのかを見ることができました」

典型的な発達段階にある幼児は、大人の他の音声よりも幼児語を好みます。
これまでの研究で、幼児の脳は幼児語と非音声とを区別して処理している可能性が示唆されています。

また、自閉症の幼児は社会的活動や、他の子どもが遊んだり歌ったり踊ったりするのを見るなど、通常なら幼児の注意を引くような刺激にあまり興味を示さないことも分かっています。

しかし、自閉症の乳幼児が幼児語に一貫して反応しないのか、それはなぜなのか、そしてそれが長期的にどのような影響があるのか、についての研究はほとんどありません。

カーチェンス博士は自閉症の乳幼児は、幼児語に反応する生来の神経メカニズムの発達が損なわれているのではないかという仮説を立てました。

そして、71人の幼児と14人の成人について、機能的磁気共鳴画像法(fMRI)を用いて、幼児語やその他の社会的情動を示す発話に対する、睡眠中の幼児の脳活動を測定しました。
社会性や言語発達の臨床評価も行いました。
また、アイトラッキング技術を利用して、女性が話す幼児語と、話さないコンピュータの音や画像に対する反応も測定しました。

その結果、研究グループは、幼少期の社会性や言語発達の個人差は、子どもの音声に対する神経反応と相関しており、幼児語に対する神経反応が最も悪い自閉症の乳幼児は、最も重度の社会症状、最も悪い言語成果、幼児語に対する行動選好や注意の障害も最も大きいことを発見しました。
逆に、定型発達の乳幼児は、幼児語に対する神経反応と親和性が最も強いことが示されました。

さらに、類似性ネットワーク融合と呼ばれるデータ統合のための計算精密医学的手法を用い、視線パターンと神経および行動反応との相関を調べ、その結果をさらに確かなものとしました。

研究者らは自閉症の子では、音や言語を処理する脳の領域である上側頭葉が、動機づけや感情表現に弱く反応したこと、社会的能力が最も低く、動機づけに対するアイトラッキングの注意も最も低かったことを発見しました。

一方、定型発達児ではその逆で、幼児語や感情音声に対して、強い反応を示していました。

また、自閉症の幼児の少数については、アイトラッキングによって、幼児語に対して強い脳の活性化と関心を示したことがわかりました。

カリフォルニア大学サンディエゴ校医学部神経科学教授、カレン・ピアース博士はこう言います。

「我々の結論は、自閉症の幼児の幼児語への関心の欠如は、通常は親の感情音声に自動的に反応する神経系の発達障害に関係しているということです。

また、少数の自閉症の幼児が幼児語に対して、よく注意を払い強い脳の活性化を示していた事実は、2つの理由で励みになります。

第一の理由は、このような特定の自閉症児は、新たに発見された重要な、自閉症の子の中のグループであり、このグループの子たちは成長後に良い結果をもたらす可能性があることを示唆します。
第二の理由は、自閉症の子の支援のための新しい道を示唆するからです」

実証的証拠に基づく今回の知見は、自閉症の早期発見のための診断ツールや生理学的指標のさらなる開発、また自閉症が幼児にどのように広く劇的に影響を与えるかを明らかにすること、につながる価値あるものだと研究グループは述べています。

(出典:米カリフォルニア大学サンディエゴ校医学部)(画像:Pixabay

うちの子については幼児語に限らず、注意を引くとか、何かに興味をもたせるとか、ほとんどできなかったように思います。

適切な支援に必要となる正しい理解につながる、こうした研究がますます行われることを期待しています。

自閉症でない子どもは目を見る。自閉症の子は口を見る。研究

(チャーリー)


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