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自閉症の人それぞれの違いは脳の形の違いと密接に関係。研究

time 2022/06/27

この記事を読むのに必要な時間は約 5 分です。

自閉症の人それぞれの違いは脳の形の違いと密接に関係。研究

米ボストンカレッジの神経科学者の研究チームは、自閉症スペクトラムの人それぞれの行動の違いは、神経解剖学(脳の形)の違いと密接に関係していることを、『Science』誌で発表しました。
この発見により、自閉症スペクトラムの原因の解明や、個人に合わせた療育方法の開発につながる可能性があります。

研究チームは、人工知能を使って、自閉症の1000人以上の磁気共鳴画像データを分析し、それらの画像を、AIが作成した自閉症でない場合の脳の形に関するシミュレーションと比較しました。

「AIがシミュレーションした脳のおかげで、自閉症の人がそれぞれ影響を受ける脳領域が異なることがわかりました。
さらに、自閉症に関連する脳解剖学的変異と関連しない変異を分離することで、脳解剖学の個人差と症状の間に隠れた関係があることが明らかになりました」

そう、ボストンカレッジ博士研究員でレポートの共著者であるアイダス・アグリンスカスは語ります。

自閉症は、個人によって症状も神経解剖学的構造も異なります。
先行研究では、自閉症のすべての人に共通する神経解剖学的相関は1つではないかもしれないという仮説が建てられました。
しかし、自閉症に特異的な神経変化を特定することは困難な作業です。
そのため、これらの示唆を確認することは困難でした。

脳は、自閉症に限らず遺伝的変異を含む多くの要因によって異なっており、これを比較することは難しいためです。
今回、研究チームはAIを採用して自閉症の人に特有の神経変動のパターンを特定することで、それを克服することができたとアグリンスカスは言います。

「自閉症に関連する脳解剖学的差異は、自閉症に関連しない差異の中に隠れてしまいます。
そのため、症状の違いに関連する脳解剖学上の違いを特定することは困難でした。
しかし、私たちはAIを使うことで、自閉症に関連する差異を、関連しない差異から切り離すことができました」

研究チームは、脳解剖学的な自閉症の特有の特徴が、症状に関連する形で個人間で異なるかどうかを明らかにすることにも着手しました。
自閉症における脳解剖学的な個人差を調査したこれまでの研究では、自閉症特有の特徴を、自閉症に無関係な個人差から分離することができなかったため、神経解剖学的な違いと症状の関係を調べることが困難でした。

研究チームは、1103人の磁気共鳴画像データについて、「ディープフェイク」とほぼ同様な方法を用いました。
研究チームはコンピュータで検出したパターンを使って、自閉症でない場合にはそれぞれの自閉症の人の脳がどのように見えるかのシミュレーションを作成しました。

「私たちは、自閉症の個人間で多次元に渡る脳解剖学的な大きな差異が観察されたにも関わらず、これまで分類されていないことにおどろきました。
脳解剖学的レベルでは、自閉症の人での個人差は明確に分けられるものではなく、グラデーションのように捉えられてきましたが、明確に分けられる可能性があります」

今後、これらの神経解剖学的差異がどのように行動に影響を及ぼすのか、より詳細に理解する必要があると、研究チームは指摘しています。
研究チームは、自閉症の診断や自閉症の人の行動をより良く理解するために、AIツールを使って、脳の構造だけでなく、その先も見ていこうと考えています。

「2つの脳は、非常によく似た形をしていても、異なる働きをすることがあります。
全体像を把握するためには、脳の他の側面にも目を向ける必要があります。
今、私たちが注目しているのは、脳がどのように配線されているかを示す機能的結合度です。
大きな疑問は、自閉症の個人差について何か新しいことがわかるかどうかです。

こうした研究の目標は、脳画像データを用いて、自閉症の人のために個人化された、よりよい医療的支援方法の開発に役立てることです」

(出典:米ボストン・カレッジ)(画像:Pixabay

「ディープフェイク」

有名人の顔に差し替えた画像や動画をAIにより作れるあの技術です。

こんなふうに役立つこともあるんですね。

自閉症の人の脳の構造の違いについてこれまでにわかってきたこと

(チャーリー)


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