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自閉症の子が親と言葉を獲得する療育方法の実現へ。米テキサス大

time 2022/09/19

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自閉症の子が親と言葉を獲得する療育方法の実現へ。米テキサス大

自閉症の子どもたちに早期に療育介入することで、とくに言語能力の発達が改善されることが、これまでの研究により明らかになっています。
そのため、研究者たちは症状が現れる前の生後2年間の乳児に自閉症の可能性を見出す方法を発見しようとしてきました。

米テキサス大学ダラス校の研究者は、乳幼児の自閉症の言語およびコミュニケーションマーカーを特定するための全米規模の取り組みの先頭に立っています。
このプロジェクトチームは、脳画像を用いて自閉症の潜在的なバイオマーカーを特定・監視し、子どもの養育者のために、言語介入戦略を開発することも計画しています。

行動脳科学部心理学の助教授、メーガン・スワンソン博士は、米国国立衛生研究所(NIH)の一機関である国立聴覚障害研究所から5年間で370万ドル(約5億3千万円)の助成金を受け、3つの側面から大規模な研究を行い、将来の介入策について情報を提供することにしています。

「自閉症の子の3分の1以上は、生涯にわたって言葉を発しないか、言葉をほとんど発しない状態です。
このことは、自閉症の診断基準にはもはや含まれていませんが、この集団の大部分は、言語において大きな葛藤を抱えています。
この助成金は、特に言語領域でのスキルを支援することを目的としたものです」

心理学教授のエルヴェ・アブディ博士は、このプロジェクトの高度多変量解析の専門家として、研究者が有効な結論を導き出せるように、音声と画像データを組み合わせるための統計手法を構築しています。

このプロジェクトには、Infant Brain Imaging Study(IBIS)ネットワークの他の5つのメンバー機関(ノースカロライナ大学チャペルヒル校、ミネソタ大学、ワシントン大学、ワシントン大学セントルイス校、フィラデルフィア小児病院)の研究者が参加する予定です。
IBISは、NIH Autism Centers of Excellence Programの支援を受け、自閉症のきょうだいを持つ乳幼児の脳と行動の発達を調査しています。

今回の研究は、自閉症のきょうだいを持つ、生後6ヶ月から始まる子供たちを対象としています。
研究の目的は3つあり、1つ目は、幼児の声音と、その後の自閉症診断や言語・コミュニケーションの問題との関連性を探ることです。

「子どもたちが身につけるレコーダーは、クレジットカードほどの大きさです。
16時間連続で録音し、子どもが発するすべての音と、子どもに語りかける多くの言葉を拾います」

このプロジェクトにおけるUTダラスの具体的な役割は、これらの家庭内言語録音を収集し、処理することです。録音された音声は、まず自動処理ツールで分析され、次に研究者によって分析されます。

「子どもに向かって、あるいは子どもの近くで話された言葉の数など、ハイレベルな情報を自動化されたツールが提供してくれます。
アルゴリズムは、子どもの発声を音声的なものと非音声的なものに分類します。

10分間の遊びの機会で、より詳細なアノテーションを行います。
そこで、喃語、苦痛、喜び、笑いなどを区別できるようにします」

この研究の第2の目的は、保育者の発話(量と質の両方)と、その後の子どもの言語・コミュニケーション能力との関連性を調べることです。
スワンソン助教授は、このテーマに関する30年にわたる研究により、この関連性は一般集団において反論の余地がないものであると述べています。

「赤ちゃんは、人が話すのを聞いて言葉を学びます。
そして、あなたがより多く話し、より質の高い言葉を使えば、その子の言語能力が向上することがわかっています。
また、トレーニングによって、保育者が子どもへの語りかけを増やすことができるという研究結果もあります

これは、実行可能な療育介入の目標となります。
私たちはこれらのスキルを教えることができるのです。

多くの負担をかかえている可能性のある介護者には、行うアドバイスを洗練させる必要があります。
スワンソン助教授は、この研究で、何が最も効果的かを明らかにしたいと言います。

「もし、私が親に何か1つでもできるとしたら、それは何でしょうか。
私たちは、自閉症の子の介護者の話し方について、どうすればもっとも良いのかわかっていません。
既存のモデルのほとんどは、発達障害でない子どもをベースにしています。
私たちは、この自閉症の子どもたちに最適な言語能力の支援方法を抽出したいと考えています」

この研究の最終目的は、6ヶ月、12ヶ月、24ヶ月の子どもの脳のMRIスキャンを使用して、介護者の発話と白質発達の関連を探ることです。
スワンソン助教授は、これが今回の研究の核心であると述べています。

「私たちの予備的な小サンプルデータは、乳児期における養育者の発話と脳の発達との間に有意な関連があることを示しています。
このメカニズムを理解することで、あらゆる種類の有用なことがわかるからです。
例えば、そのメカニズムがわかれば、脳の発達に理想的な療育介入を行うタイミングについて重要な情報が得られるかもしれません」

アブディ教授は、この研究における自分の役割を、無数の変数のうちどれが本当に何かを語っているのか、どれが冗長なのかを自動的に判断する方法を設計することだと説明します。

「この研究の脳画像から得られる複雑なデータは、最高品質のものです。
統計学的な観点からの大きな挑戦は、質的にも量的にも非常に異なる種類のデータを一緒にして、一方を使ってもう一方を予測できるかどうかを見極めることです」

スワンソン助教授は、この研究は、いくつかの点でユニークだと言っています。
その中でも、MRIを使って脳の特定部位における神経学的変化を検出することは、療育介入が有効であることを示す強力な方法となることです。

「保育者の発話と子どもの言語能力との神経学的な関連を示す研究は必要な時間も長く、費用がかかり、困難であるため、これまで行われてきませんでした。
また、2歳児の言語能力を測定する従来の方法には限界があります。
変化を示すことは非常に難しいので、療育介入の有効性を示すことも同様に難しいのです」

この研究のコホートである家族性リスクの高い250人の乳児のうち、統計によれば約50人が後に自閉症と診断される可能性があります。

「自閉症はますます広がっています。
症状が出る前に療育介入することで、予後を改善し、生活の質を向上させることができる可能性があります。
そのためには、療育介入を開始するためのエビデンスを確立する必要があります。
家庭内言語記録のよくできたサンプルと縦断的なデータを持つことで、それに応えることができるようになります」

(出典・画像:米テキサス大学ダラス校

うちの子ももう大きくなりましたが、言葉はありません。

メディアでは、言葉がない話せない自閉症、発達障害の人を見ることはほとんどありません。

しかし、特別支援学校の子どもたち、施設の人たちを見れば、多くの自閉症の人が話すことができません。

泣き叫んでいても、何が苦しいのか、どこか痛いのか。ずっと親なのにわかりません。悲しく申し訳なくなります。

話せないことで本人は本当に苦労しているはずです。

早くからの療育でその苦労を減らすことができるのなら、広く実現されることを願っています。

それにつながる研究を応援しています。

親が会話のしかたを学ぶことで、発達障害の子の言葉の能力が向上

(チャーリー)


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