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ウクライナの発達障害、自閉症の子と親「閉じこもるしかない」

time 2022/10/04

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ウクライナの発達障害、自閉症の子と親「閉じこもるしかない」

4歳のテオナは、紫色のお手玉や感覚を刺激するおもちゃでいっぱいの部屋に座り、膨らませた風船を両手で力強くなでています。
時折、喜びの声をあげながら、明るく元気な様子です。

優しく穏やかな口調で話しかけるのは、プレイセラピストのソフィア。
彼女の仕事は、テオナの社会性を高めることです。

この2人のやりとりを見ていると、この数カ月がテオナにとって言葉にできないほどの強いトラウマになっていることは想像できないかもしれません。

今は、ウクライナ西部の都市リヴィウにある障害を持つ若者のためのリハビリテーションサービスや治療を行うNGO、Dzherelo Children’s Rehabilitation Centreで安全に過ごしています。

テオナと母親のヴィクトリア・プリウシュは列車で逃げ、危険な検問所で恐る恐る待ち、ロシア軍に故郷の南部ケルソン地方のホラ・プリスタンを占領されてから4ヶ月を経過してここに到着したのです。

テオナは言葉を発しない自閉症です。
ロシア軍に占領される前は、遊びと言語療法を提供する幼稚園に通っていました。

母親は数カ月間、ウクライナ軍がこの地域を解放してくれるという希望にしがみついていました。
テオナは数カ月間、家に閉じこもり、学校にも行けず、家族とともにポーランドやルーマニアに行ったクラスメートにも会えませんでした。
テオナは興奮し、耳を塞ぎ、叫び続けました。

「発達障害の子のための施設は、ロシア軍に占領されてからすべて閉鎖されました。
ロケット弾があちこちに飛んできました。
空襲警報のサイレンもありませんでした」

故郷のホラ・プリスタンからここリヴィウまでの2日間の旅の間、テオナはずっと泣き続けました。

ここに来てからはテオナがこれ以上孤立することなく、必要な治療を再開できることに安堵しています。

しかし現在、テオナは分離不安症になり、母親が数分でも目を離すと泣き叫ぶようになりました。
テオナだけでなく、母親のヴィクトリアもストレスから、特別なケアを必要とする状態になりました。

ロシアの侵攻が8カ月目に入った今、ウクライナの障害者とその介護者は、必要な支援を受ける上で大きな困難に直面し続けています。

ブリュッセルに拠点を置く2つのNGO、欧州障害フォーラムとインクルージョン・ヨーロッパによれば、ウクライナには約270万人の障害者が登録されています。
このうち知的障害者は26万1000人と推定されています。
そして、ウクライナの障害者の生活の質が劇的に悪化していることが報告されています。

薬や食料を手に入れることができない人もいれば、発達障害のある人は発作を起こしたり、砲撃に怯えて攻撃的になったりしています。
また、車いす使用者や移動に不自由のある人は防空壕に入ることができないため、家にとどまるしかありません。

数千人が、ケアホームや手入れの行き届かない施設に閉じ込められ、地域社会から切り離され、放置されたままになっていると考えられています。

アイルランドで障害者のウクライナからの避難を支援している、ウクライナの障害者の権利のためのNGO、Fight for Rightの会長兼共同創設者ユリア・サチュクはこう言います。

「家に閉じこもるしかなく、避難することもできませんでした」

発達障害のある人たちを支援するNGOにとって大変なことは、戦争の混乱の中で安定を提供しなければならないというプレッシャーです。
自閉症の子どもたちにとって、日常生活は特に重要で、混乱は発達の進歩を妨げます。

リヴィウにある発達障害児を支援するNGO「スタートセンター」の創設者アンナ・ペレカティは、ロシア軍から激しい砲撃を受けたウクライナ東部のケルソン、ドネツク、ミコライフなどの地域から避難民が助けを求めてやってきていると言います。

彼らには、身体、発達、学習などさまざまな障害を持つ子どもたちがいます。
そのうちの90パーセントは子は自閉症をかかえています。

知的障害のある子どもたちには、構造化された環境が発達にとって重要です。
戦争が始まってから、障害をかかえる多くの子どもたちは、教育の機会を奪われています。

(出典・画像:ALJAZEERA

「余裕」がある平和な社会状態があるからこそ、うちの子と私は幸せに過ごしてこれました。

誰しもが生きるのに必死な戦争や災害時にはそうでなくなるはずです。

ありきたりのことしか申し上げられませんが、戦争が早く終ることを願うばかりです。

ずっと街を見ていた発達障害の少年・戦争難民・支援:母の願い

(チャーリー)


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