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自閉症の子の感情をきちんと理解し対応するAIとロボットの研究

time 2023/02/15

この記事を読むのに必要な時間は約 9 分です。

自閉症の子の感情をきちんと理解し対応するAIとロボットの研究
  • 自閉症の子どもたちは、ロボットが彼らの感情や行動にどう反応することができるのか?
  • ロボットが長時間家庭に留まるほど、子どもたちはどのように反応するのか?
  • 機械学習によって覚醒度や感情価を認識するAIを開発する場合、自閉症の子どもたちの特有の感情表現に合わせることは可能なのか?

退屈?イライラしてる?疲れてる?

新しいAIによって、ロボットが感情を読み取り、より相手にあわせた反応ができるようになるかもしれません。

米国では、約150万人の子どもが自閉症スペクトラム障害(ASD)をかかえています。
これは、コミュニケーション、学習、行動の仕方に影響を及ぼす発達障害です。
ASDの唯一の原因や治療法はわかっていませんが、社会的支援ロボット(SAR)が自閉症の子どもたちの新しいスキルの発達や保持に役立つことが研究で示唆されています。

ロボットが子どもたち一人ひとりの行動に反応することができれば、最も効果的なものとなります。
しかし、既存のほとんどのロボットにとっては困難なことであり、特に自閉症の人では、症状や重症度が個人によって異なり、さらに同じ人でも時間の経過とともに変化する可能性があるためより困難です。

“ACM Transactions on Human-Robot Interaction”誌に掲載された初の研究において、米南カリフォルニア大学の研究チームは、自閉症の子どもが家庭内で社会的支援ロボットと相互作用する際の認知・感情状態を分析しモデル化しました。
その目的は、ユーザーの感情や行動をより敏感に察知できる家庭教師ロボットを設計するためです。

認知・情動状態とは、感情、注意、記憶、推論など、人にある種の感情を抱かせたり、意思決定を支援したりする、心の中で起こるプロセスのことです。

研究チームは、特定の子どもの混乱、欲求不満、興奮などの異なる状態を認識するAIモデルを開発しました。
それによって、学習プロセスにおける子どもの個々のニーズに合わせて、より個別の反応をすることが可能になりました。

南カリフォルニア大学のインタラクションラボのマジャ・マタリッチ教授が指導するコンピュータサイエンス博士課程の学生である主著者のゾンハオ・シはこう言います。

「このAIの機能により、子どもが混乱しているとロボットが認識すると、ヒントを与えたり、学習教材の難易度を下げたりすることができます。
子どもがイライラしている場合は、もっと励ましたり、休憩をとったりすることを勧めたりできます。
異なる状態を正確に認識する機能により、より一人ひとりにあわせた反応をすることができるようになります」

このAIモデルは、研究者がより優れた社会的支援ロボットを設計し、ロボットと多様なニーズを持つ子どもたちとの社会的相互作用や学習体験を成功させるための要因を特定するのに役立つはずです。

「私は、現在のこれまでの技術では、ASDの人たちに失敗感を与えてしまうように感じています。
自閉症の子どもたちが必要なサポートを得るために、より有能なAIやロボットを設計したいのです」

研究チームは、2017年に行った、社会的支援ロボットを17人の自閉症の子どもの家に30日間置いた研究のデータを使用しました。
その研究では、30日が経過した頃には、すべての子どもたちが数学のスキルを向上させ、92パーセントの子どもたちは社会的スキルも向上させました。
また、子どもがある活動や交流にどの程度興味を持ち、関わっているかを90パーセントの精度でロボットは検出することができました。

しかし、その研究のデータを分析したところ、時間が経つにつれて、子どもたちはロボットに注目しなくなり、反応するのに時間がかかるようになることがわかりました。
つまり、ロボットが家にいる時間が長くなればなるほど、ロボットが役に立たなくなっていたのです。

「通常であれば、この種の研究は研究室で行われるため、子どもたちは、いつもと違うためにとくに注意を払います。

しかし、ロボットが家庭内にあり、子どもたちが長い間遊んでいると、もう目新しさはないと感じ始めるのです。
さらに、ロボットは、子どもが退屈したり、混乱したり、イライラしていることを検知する技術的な能力が不足していたため、子どもたちの注意を再び引きつけることができませんでした」

そこで研究チームは、その研究で家庭用ロボットが撮影した映像データに、子どもたちがロボットと触れあった際の感情についての「覚醒度」と「感情価」を付け加えました。

「覚醒度」とは、人が経験している興奮度を表します。
「感情価」とは、感情状態の肯定的または否定的な状態を表します。

喜び、怒り、恐怖など多くの感情は、覚醒度と感情価から直接分析することができるため、こうすることで研究チームは子どもとロボットとの関わり方の質をより良く理解することができます。

これをもとに、子どもが夢中になって興奮しているのか、それともイライラして興味を失っているのかを察知し、より適切なフィードバックができるようなロボットを開発することが目標です。

覚醒度や感情価を認識するAIを作るために、機械学習を行わせようとする場合、子どもたち、さらには自閉症の子どもたちであれば感情表現が特有のものとなるため、簡単ではありません。

たとえば、自閉症の人は、感情を識別して表現することが難しい「アレキシサイミア」であることがよくあります。

「一般的な人たちの感情表現からの機械学習では、すべての子ども、あるいはほとんどの子どもにうまく機能しない可能性が高いのです。
そのため、認知行動や感情行動のような特定の子どもの感情表現に合わせることが求められます」

ゾンハオは、自閉症の子どもたちとそうでない子どもたちの両方のデータで機械学習を行うようにしました。

今回の研究による、AIにはそれぞれの自閉症の子どもから得たデータと他の参加者全員の膨大なデータが含まれるものです。
2つのデータの間にどれだけの重みを置くかのバランスを取る必要がありました。

「子どもによっては、その子の行動がユニークなので、データの個人的な部分に注目したほうがいい場合もありますが、そうでない場合は、一般的な部分にもっと注目すべきです」

今回の研究では、このAIによってこれまでよりも、子どもたちが認知的・感情的な学習効果の向上を達成することを確認できました。

将来的には、ロボットを改善するだけでなく、自閉症の子どもたちに療育を行う指導員が、エコーラリア(言葉を繰り返すこと)などの好ましくない行動を軽減させるのを助ける、より高性能なAIを設計したいと、ゾンハオは考えています。

指導員の直接の注意のほとんどは子どもに注がれているため、セッション中にその子どもの望まれない行動をすべて記録することは困難だからです。

「人間が気づいて記録する代わりに、AIが気づき記録する。
そうすれば、セッション後に指導員は、すぐそれを確認することができます。
指導員だけでなく、親も何が起こっているかを知ることができるのです。
そうすれば、家庭でも簡単に行動を把握することができます」

ゾンハオの目標は、人間と技術を結び、良い方向に導くことです。

「私はもともと、人を助けるための技術に携わりたいと考えていました。
技術的な側面も魅力的ですが、それ以上に人間的な側面に惹かれるのです。
自閉症の子どもだけでなく、高齢者、幼児、ADHDの大学生など、あらゆる人たちを助けるロボットを作りたいのです」

(出典:米南カリフォルニア大学ビテルビ工科大学
(画像:画像生成AI/Stable Diffusionで作成)

「人間と技術を結び、良い方向に導く」

いいですね。全く共感です。

私もずっと、ITに携わっていますが、多くの人を幸せにするためにそれがあるものと思っています。

(当記事の画像はAIに描かせました。やはりちょっとおかしい、不気味なところがあります)

コミュニケーションに困難をもつ人も助けるAI。ChatGPT

(チャーリー)


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