米ペンシルベニア州立大学の学際的研究チームによる新たな研究成果が、BMJ Health & Care Informatics誌に発表されました。
研究チームは、幼児の自閉症スペクトラム障害の可能性を予測するために、一見無関係に見える病状に対する医師の診察や医療サービスなど、何百もの臨床変数の間の関連性を評価するAI、機械学習モデルを開発しました。
今回の研究の筆頭著者であるペンシルベニア州立大学工学部の産業・製造工学のキッシュ・チェン助教授はこう言います。
「保険請求データは、非識別化され広く利用されており、患者に関する詳細な医療情報を長期にわたって提供します」
自閉症スペクトラム障害の子どもたちは、さまざまな種類の感染症、胃腸障害、発作、行動表示などの臨床症状の割合も高くなっています。
「それらの症状は、自閉症の原因ではありませんが、特に幼い年齢の自閉症の子の間でしばしば現れます。
私たちは、関連する医療情報を統合して、可能性を数値化して予測することを思いつきました」
研究チームは、データから機械学習を行い、何百もの変数を評価するように訓練して、自閉症スペクトラム障害の可能性上昇に関連する相関関係を見つけ出しました。
この研究の共著者のペンシルベニア州立医科大学の公衆衛生科学、精神医学、行動衛生学、小児科学のグオドン・リウ准教授はこう言います。
「自閉症は発達障害です。
医師が診断を行うには、観察といくつかのスクリーニングが必要です。
このプロセスは通常長く、多くの子どもたちが早期療育を開始するのを逃してしまっています」
自閉症スペクトラムの可能性が高い幼児を特定するためによく使われるスクリーニングツールのひとつに、Modified Checklist for Autism in Toddlers (M-CHAT) というものがあります。
これは通常、生後１８ヶ月と２４ヶ月の定期健診で実施されるものです。
アイコンタクト、社会的相互作用、および歩行などのいくつかの身体的なマイルストーンに関連する行動に焦点を当てた２０の質問から構成されています。
しかし、この時期の発達には大きなばらつきがあるため、誤認識が生じる可能性があるといいます。
その結果、４〜５歳になるまで正式な診断を受けられないことが多く、早期療育の開始を遅らせてしまうことになります。
「私たちの新しい機械学習モデルは、特定された危険因子の合計を定量化して可能性のレベルを知らせるものです。
すでに既存のスクリーニングツールと同程度の精度があり、場合によってはわずかに上回っています。
この機械学習モデルとスクリーニングツールを組み合わせれば、医師にとって非常に有望なアプローチになります」
リウ准教授によれば、この機械学習モデルとスクリーニングツールを統合して診断に利用することは、現実的に可能です。
「この研究のユニークな強みは、この臨床情報学的アプローチを医療現場に組み込むことができることです。
この機械学習による予測は、患者の健康状態を記録するために使用されている病院の電子カルテシステムに組み込むことができます。
臨床意思決定支援ツールとして、自閉症の高リスクの子にフラグを立て、臨床医と家族の両方がより早く行動を起こせるようにすることができます」
（出典：米NeuroScience）（画像：Pixabay）
新しい情報を求めることなく、これまでに得ている情報を利用して、早期療育に役立てる。
AI、機械学習の素晴らしい使い方ですね。
（チャーリー）
