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「こんなに長く眠ったのは何年ぶり」自閉症の子のカプセルベッド

time 2022/12/15

この記事を読むのに必要な時間は約 8 分です。

「こんなに長く眠ったのは何年ぶり」自閉症の子のカプセルベッド

小学1年生のローガン・エイベルの寝室で、まるでスペースシャトルが発射準備中のようです。
7歳の子どもの「zPod」は、空想の時間を提供してくれます。

しかし、このカプセルベッドの一番の役割は睡眠の時間を提供してくれることだと母親のテイラーは言います。

「人生を変えてくれました」

ローガンは自閉症をかかえています。
米国では44人に1人が自閉症だと言われています。
そして、自閉症の子どもの最大8割が睡眠の問題をかかえ、家族全員にとって困難なものとなります。
子どもが眠らないと、親も眠れません。
問題行動も多くなり、学業も厳しくなり、友情も壊れていきます。

しかし、睡眠の問題は、言葉の習得など、発達障害にとってより緊急性の高い問題のために、しばしば後回しにされます。
障害者のための非営利団体イースターシールズ・ミッドウエストの自閉症サービス担当ディレクター、メラニー・ミルズはこう言います。

「睡眠はあまり注目されていません。
しかし、それは脳の発達のために重要です。
行動、気分、認知に影響します。
それらすべては、自閉症の人たちにとって、すでに困難なことであるにもかかわらず」

米ミズーリ大学コロンビア校の研究者が主導した2020年の研究では、自閉症の子どもの不眠症は、コミュニケーションの課題、環境刺激への高い感受性、反復行動の増加と関連していることがわかりました。
また、うつ病や不安も睡眠不足と関連しています。

3年ほど前に日本で人気のある箱型の未来的なベッドを初めて見て、ジョージ・ベイリーはフロリダにある宇宙基地をテーマにした短期レンタル用のベッドを開発しました。
そのときは、こうした自閉症の子どもたちへの用途のアイデアは浮かんでいませんでした。

「zPod」開発企業の共同設立者のジョージ・ベイリーには2人の自閉症の子どもがいました。
感覚にやさしい、このカプセルベッドに可能性は感じていましたが、自閉症の子どもの親たちに売ろうとは考えていませんでした。
しかし、落ち着きのない長男が、このカプセルベッドに入るとすぐに気を失ったように眠りについたのを目の当たりにしました。

それから間もなく、住宅展示場でこの「zPod」がリア・リンギゼンの目に留まりました。
彼女の娘、ナタリーは自閉症、統合失調症、不安神経症など、さまざまな診断を受けています。

小学6年生になって新しい学校に通い始めると、耐え難いほどの不眠症に襲われていました。
日中は目を開けているのがやっとなのに、夜になると寝室の物陰や音に気を取られ眠りません。
ぬいぐるみの山に埋もれたり、カーテンでマットレスを囲ったりして、不安を和らげようとしましたが、唯一うまくいったのは、クローゼットの中に閉じこもることでした。

zPodを見て、洋服や靴がなくても、クローゼットのような安心感が得られると、リンギゼンは考えました。
ナタリーを連れて、zPodのショールームを訪れました。
ナタリーは強い興味をもちました。

カスタマイズ可能なこのカプセルベッドには、スライド式のドア、青やピンクや緑に光るLEDライト、Bluetoothスピーカー、ファンが付いています。
コントロールパネルで、照明やサウンドを外部からモニターすることもできます。

zPodを手に入れた最初の夜、母親のリンギゼンは娘のナタリーを横にし、空気の循環を調整し、カプセルのドアを閉めました。
それから9時間、ナタリーが騒ぐことはありませんでした。

「こんなに長く眠ったのは何年ぶりだろう」

そう、リンギゼンは思い出します。
朝には、まるで新しい子どもになったようでした。

「娘は自分に自信をもつようになりました」

ナタリーの成功は、「zPod」がさまざまな睡眠の問題を抱える子どもたちに役立つことを共同設立者のベイリーに確信させました。
ベイリーは、ミズーリ大学の睡眠研究所のディレクターであるクリスティーナ・マックレイに連絡を取り、協力を求めました。

マックレイは、20年以上にわたって自閉症の人たちの睡眠問題を研究してきました。
この問題への対策としては主に、毎晩の規則正しい生活など、行動を変えることに頼るものです。
しかし、感情のコントロールや自分の要求を口にすることさえ難しい子どもたちには、その効果はいまひとつだと言います。

「zPodは、これまでの対策とは異なるタイプのものです。
より幅広い能力の、より幅広い子どもたちを助けることができます」

しかし、約5000ドル(約67万円)のzPodは、多くの家族にとって手の届かないものです。
そのため、ミズーリ州を含むいくつかの州では、購入に対しての支援を行っています。
また、家族に資金を寄付する非営利団体もあります。

これらを利用して、チャップマンは約1年前にマイカのためにベッドを手に入れました。
一家はすでにメラトニン、ホワイトノイズマシンなどを試していました。
しかし、どれもうまくいきませんでした。

zPodの大きな違いは、マイカが自分でコントロールできるように感じることだと、母親は言います。

「それは娘専用の小さな快適ゾーンです」

マイカは夜通し眠り続けることはほとんどありませんが、早朝に目が覚めても、自分から眠りにつくことができるようになりました。
そして、日中もイライラすることも少なくなりました。

「友だちもできて、維持できています」

zPodは発売当初に70台以上売れました。
しかし、重くて設置が難しく、発送の負担が大きいものでした。
そのため、本体の重量を半分にし、技術を高め、家庭での組み立てできるようにしました。

第2世代のzPodsの最初の注文(約100台)が、8月に出荷されました。

ローラ・エクホルムは、夜中の2時に眠り、朝6時に起きる9歳の息子クリストファーのためにzPod 2.0購入しました。
母親のローラは必死でした。

「私たちは、ずっとこのzPodsを手に入れたいと思っていました」

クリストファーは変化を受け入れることが難しいため、届く前に両親がzPodの写真を見せたり、応援したりして準備してきました。
しかし、そんな心配を他所にクリストファーはすぐにカプセルを気に入りました。

毎日テレビを見たり、避難場所として、また『きかんしゃトーマス』のぬいぐるみコレクションとの住処として、このカプゼルベッドを使っています。

「3日間も、息子はそこから出てきませんでした。
息子は学校の先生やみんなをここに招待しています」

(出典・画像:米ST.LOUIS POST DISPATCH

うちの子もなかなか眠らないので、特別支援学校の高等部に入ってから薬を飲むようになるまで、ずっと苦労しました。

これはいいですね。

きっと日本のカプセルホテルを見たんでしょう。

自閉症の子に限らず、こんな宇宙船みたいな自分の空間、私も欲しいです。

発達障害の人が自分で対処できるように。抱きしめてくれる椅子

(チャーリー)


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