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自閉症やADHD、我が子の発達障害をまわりの人に言うべきか

time 2023/06/14

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自閉症やADHD、我が子の発達障害をまわりの人に言うべきか

パベル・タブトフの家族は、友人から娘たちの演奏会に招待されていました。

大勢の人が集まる会場で、演奏中は子どもたちはじっとしていなければなりません。
その日、3人の幼い子どもたちは不機嫌でした。
それにもかかわらず、出かけました。

「友人を応援したかったのです」

数日後、招待した友人がタブトフに、彼の子どもたちの態度があまりにも手に負えなかったので、その場にいた他の人たちの間で文句を言うメールが飛び交っていたと伝えました。

タブトフの10歳の子どもはADHDで、行動に大きな影響を与えることがあります。
しかし、タブトフはその日、見知らぬ大勢の人を前にそのことを伝えることはありませんでした。

ADHD、自閉症スペクトラム、学習障害などの発達障害。
どんな子どもでも悪いエピソードを持つ可能性はありますが、発達障害の子どもを持つ家庭では、より多くの難しいエピソードがあります。

「私自身は、誰もがイメージするような、失読症やADHDの子どもにはなりたくないと思っていました。
なので、私たちの息子にはできる限り外部からもサポートを得ていますが、あまり公言はしていません。

『うちの息子は発達障害です!』

そう、切り出すことはありません」

自らも発達障害をもつタブトフはそう言います。

友人から話を聞いて、タブトフはその後、迷惑をかけた人たちに謝罪の電話をかけました。
息子の重度のADHDについては一切触れませんでしたが、この事件をきっかけに、息子のADHDについて公言するべきか否かを考えるようになりました。

オープンに話すことは問題も生みます。
とくに、子どもはこれからの自分の人生を自分で決める必要があるからです。

親は、自分の子どもの診断を公表して、他の人たちに知ってもらい受け入れてもらうようにするのか、それとも、どんなに難しい状況になっても、子どもが自らいつか言うかもしれないのを黙って待つのか、悩みます。

米国疾病管理予防センターの最新データによると、米国では約600万人の子どもが注意欠陥・多動性障害(ADHD)と診断され、36人に1人が自閉症スペクトラム障害(ASD)です。
米イェール大学ディスレクシア&クリエイティビティセンターによれば、人口の20パーセントが学習障害の中で最も一般的な読字障害、ディスレクシアをかかえています。

発達障害の子どもたちはすでに多くいます。
それでも、誤解と偏見をともなうそのレッテルに苦しむことが少なくありません。

米教育省によると、公立学校に通う子どもの約15パーセントは、特別支援教育が必要だとされています。
しかし、それらは助けなりますが、問題も与えます。

4人の発達障害の子の母親で、米ペンシルベニア州の元学校長、現在は米国学習障害協会のモニカ・マクヘイル=スモール教育ディレクターはこう言います。

「親にも、偏見をもたれることがあります。

かつて、人々はどんな障害も何かの罪の罰とみなしていたようなところがありました。

しかし現在でも、障害を親の失敗とみなすことが少なくありません。
子どもが学習障害やADHDだったら、もう親として失格であると」

歴史的に、偏見の一部は人種差別と絡んでいることさえあります。
米ジョージメイソン大学の教育・人間発達学科、特殊教育研究者のジョイ・バンクス准教授はこう言います。

「アフリカ系アメリカ人の男の子が学習障害と誤診され、他の子よりも高い確率で不適切な特別教育教室に追いやられ、彼らの将来を制限してきた事実があります」

学習障害というレッテルは、これまでに多少の進歩があったにせよ、いまだに欠陥と見なされています。

「そうではなく、すべての子どもたちに強みがあることを理解してもらわなければなりません」

2人のディスレクシアの子どもを持つ母親で、現在は学習障害について一般の人々や教師に啓蒙することを目的とした非営利団体Made by Dyslexiaのケイト・グリッグスCEOは、世界は賢くなり始めていて、発達障害の人たちの成功した事例が知られることがその助けになっていると言います。

「ミーガン・ジー・スタリオン、テイラー・スウィフト、セレーナ・ゴメス、マイケル・フェルプス、その他多くの著名人が、不安、うつ病、双極性障害、ADHDなどの神経多様性を公に認めています。

億万長者リチャード・ブランソン、映画監督スティーブン・スピルバーグ、俳優キーラ・ナイトレイ、カリフォルニア州知事ギャビン・ニューサムらも自らの学習障害を公に認めています。

発達障害をもっていても真の成功を収めることができる。

人々がそれを理解し始めれば、受け入れられるようになります。
彼らは、それを助ける存在です」

とはいえ、親は今すぐ、どうするべきかを決めなければなりません。
米オーガスタ大学ジョージア医科大学の小児科教授で発達行動小児科のジェニファー・K・プーン部長はこう言います。

「まず、考えるべきことは、特定の人に自分の子どもをサポートしてもらうために開示するかどうかです。

あなたの子どもを難しい子や行儀の悪い子と見る人ではなく、本当に時間をかけて理解してくれる人に、発達障害であることを伝えられたらいいと思います。

そして、他人に教えるには、まず自分も理解しなければなりません。
小児科医などの医師や発達障害を専門に扱う医師に相談してみましょう。

そして、あなたが発達障害について理解し始めたら、お子さんにも同じように理解できるよう心がけてください。
一番大切なことは、まずお子さんと一緒に、発達段階に応じた方法で、そのことについて話し合うことです。
どんな質問にも答え、恥じることはないということを伝えるのです」

米カリフォルニア州カルバーシティに住むマギー・ストームには、自閉症スペクトラム障害の2人の子どもがいます。
娘に診断結果を知らせることに躊躇したといいます。
現在高校3年生の娘には、小学4年生のときに診断結果を伝えました。

「何かが変わったような気がしました。
娘は突然、自分自身をよりよく理解する方法を手に入れたようでした。
すぐに、娘は学校で、自閉症とともに生きるとはどういうことなのか、話すようになりました」

しかし、本当に重要なことは情報開示ではなかったと言います。

「娘が自分のニーズを理解して、よりよく自分自身について主張できるようになることが私の願いでした」

神経多様性のある人にとって、誰に知ってもらい、誰に知られないかはとても重要です。
米北イリノイ大学で、職場における障害を研究しているアレシア・M・サントゥッツィ心理学教授はこう言います。

「私の研究では、発達障害の人がうまくいくのは、知らせる相手を慎重に選んだときだとわかっています。
話しても大丈夫な人、話さなくていい人を決めてからです」

これは「レピュテーション・マネジメント」と呼ばれます。

「しかし、誰に伝え、誰に伝えないかを決めることはひどく疲れることです。
そして時には、それに深く悩みます」

それでも、レピュテーション・マネジメントは発達障害の子どもを持つ親にとっては行うべきことです。
バンクス准教授はこう付け加えます。

「しかし、ある時点から、子どもが誰に話すかを自分で決められるようにする余地も残しておきたいものです」

小学4年生のときに診断結果を伝えられた、ストームの娘は自分自身について主張できるようになりました。
そして、発達障害の子どもたちにとってより学びやすい環境が、自分には必要だと母親を説得するようになりました。

新しい学校に通うようになると、多くの症状は問題ではなくなりました。
今では、自分の発達障害について話さなければならない場面は、はるかに少なくなりました。

サントゥッツィ教授はこう言います。

「結局は環境なんです。
照明や騒音など、さまざまな場面で必要とされるもの、許容されるものなど、環境をより寛容で包括的なものに調整すれば、障害を持つ人たちはたいていうまく溶け込めるということが、研究によってわかっています」

つまり、究極の解決策は、ありのままのその人を受け入れることです。
バンクス准教授は、障害者の権利の歴史、特にIDEA:Individuals with Disability in Education Act(米国個別障害者教育法)を見てみると、親たちが抗議し始めたからこそ、法律ができたと言います。

「障害の分野では、まだまだ社会の進歩が必要です。
資源やサービスへの平等なアクセスや公平な利用がまだ必要です。
親の行動は強力です」

演奏会での出来事から、息子がADHDであることを公言するべきか悩んでいたタブトフには、心境の変化がありました。

「他の親子にも、孤独を感じてほしくない。
障害との闘いについてもっと話したいと考えるようになりました。
言い訳としてではなく、意識を広めるために。

そして、私たちの子どもが持っている素晴らしい能力を、みんなに認めてもらいたい。

私の息子は頭が良く、能力があり、とてもクリエイティブです。
私たちがオープンで正直であれば、人々はもっと寛容になり、受け入れてくれると思います」

(出典:米The Washington Post)(画像:Pixabay

うちの子は重度の自閉症で知的障害もあり話すこともできません。

なので、私にはこうした悩みはまったくありませんでした。

知的障害などが重くなければ、子どもの将来に大きく関係するので、本当に悩むことだと思います。

発達障害であることを子どもに伝えるのに最適なタイミング。研究

(チャーリー)


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