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自閉症の症状と腸内の細菌状態は明らかに関係がある。研究

time 2023/07/13

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自閉症の症状と腸内の細菌状態は明らかに関係がある。研究

大規模な再評価研究において、腸内細菌と自閉症スペクトラム障害の「決定的な関連」が確認されました。
腸内マイクロバイオームと自閉症スペクトラム障害(ASD)の関係は、20年以上もの間、解明できずにいました。

科学雑誌「Nature Neuroscience」に掲載された今回の研究では、腸内マイクロバイオームの時間的変化とASD患者の観察可能な特徴や症状との間に「決定的な関連性」を見出したと主張しています。
研究者たちは、数十年にわたる研究を掘り下げ、新たなアルゴリズムを用いて、腸内マイクロバイオームとASDの複雑な関係を確認しました。

自閉症は、幅広い認知、行動、コミュニケーションの障害を特徴とする複雑な発達障害です。
自閉症はスペクトラム障害であり、症状や重症度は個人差が大きくあります。

腸内マイクロバイオームとは、私たちの消化管に存在する「善玉菌」と「悪玉菌」の微生物群集のことです。
これらの細菌のバランスは、消化、代謝、免疫機能、健康全般に重要な役割を果たしています。

自閉症とこのマイクロバイオームとの関連性が最初に浮上したのは1990年代です。
自閉症の子が抗生物質(腸内細菌の一部を死滅させる薬)を服用すると行動が変化することを親たちが報告し始めたのがきっかけでした。
この逸話的観察は科学的探究の大きな波となり、ASD患者の腸内細菌組成に関連性がある(しかし一貫性はない)ことを示唆する数十件の研究につながっています。

米サイモンズ財団自閉症研究イニシアチブ(SFARI)は、ASDの原因とメカニズムを解明することを目的とした研究プログラムです。
SFARIのシニアバイスプレジデント兼シニアサイエンティストであるジョン・スピロはこう言います。

「当時、独立した科学者であったギャスパー・タロンチャー・オルデンバーグ博士を雇い、すべてを理解する手助け をしてもらい、マイクロバイオームと自閉症に関して現在行われている研究の状況分析をいました」

タロンチャー=オルデンバーグ博士(現在はニューヨーク大学のセラピューティクス・アライアンス部長)は、当時サイモンズ財団の一部門であるフラットアイアン研究所でポスドクを務めていた計算生物学者でコンピューターサイエンティストのジェイミー・モートン博士とチームを組み、計算手法を使って研究を進めました。

「10年、15年、20年分のデータがあります。
そこには何かがあるのです。
それは何か?一歩引いて、新鮮な視点ですべてを見てみようと考えました」

世界中から集まった43人の専門家からなる多様なチームが、マイクロバイオームやその他の情報(食事、免疫系反応、炎症マーカー、ヒト脳の遺伝子発現プロファイルなど)を含む、過去に発表された25のデータセットを再分析しました。
それぞれのデータセットと新たなアルゴリズムによって、研究チームは、年齢と性別の点で、自閉症と比較対象となる自閉症のない人のペアを特定しました。

「4歳児と7歳児と10歳児ではマイクロバイオームは大きく異なります。
そして、自閉症に関しては、女児と男児とで発症率が大きく異なります」

調査によると、自閉症は女の子より男の子の方が4.2倍多くなっていました。
その偏りを考慮しなければ、正しく分析することが難しくなります。

新たなアルゴリズムを用いることで、研究者たちは分析できるデータの数を劇的に増やすことができました。

「研究ごとに平均をとるのではなく、子どもたちのペアを大量に用意し、それらのペアをすべての研究にわたって集計しました。

それらを分析した結果、

『マイクロバイオームとさまざまな免疫遺伝子との関連』
『マイクロバイオームと食事との関連』
『マイクロバイオームの多くと脳のシグナル伝達の鍵となる神経経路や神経伝達物質との関連』

が明らかになりました。それは衝撃的なものでした。

関連性は明らかにありました。
しかし、そのメカニズムは解明されていません」

また、自閉症に関連する微生物と、最近の長期糞便微生物叢移植(FMT)研究でも、微生物叢移植療法による自閉症症状や腸内マイクロバイオームへの長期的な効果が示唆された微生物との間には、「予想外の大きな関連」があった、とタロンチャー・オルデンバーグ博士は言います。

「最初のFMT研究では、自閉症の子の症状の改善が見られました。
さらに、我々の研究によって、なぜそうなるのか、より多くの証拠が得られたのです」

しかし、スピロはこう言います。

「新しい今回の研究は、マイクロバイオームが『自閉症の原因』であるとか、そのようなことを証明するものではありません。
因果関係の方向性はまだ明らかではありません」

タロンチャー・オルデンバーグ博士はこう言います。

「重要なのは微生物ではなく、微生物が持つ遺伝子や、微生物が果たしている機能なのかもしれません」

また、この研究に参加したジェイミー・モートン博士はこう言います。

「マイクロバイオームの調節異常は『偏食』の傾向がある自閉症スペクトラムの人々の食事の嗜好に起因している可能性もあります」

(出典:euronews.next)(画像:Pixabay

腸内の細菌の状態と自閉症との間の明らかな「関連」が、新たな大規模研究でも再確認されたということです。

しかしながら、

A:そうした腸内の細菌の状態が、自閉症の症状を引き起こす

逆に、

B:自閉症の症状(偏食)のために、腸内の細菌の状態がそうなった

どっちなのかは、今回の研究でもわかりません。

便移植による変化は血液でも確認。自閉症の症状を永続的に改善

腸内細菌が自閉症の原因にはならない。偏食の結果、違うだけ。

(チャーリー)


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