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自閉症、ADHDの攻撃してくる息子。命が危険でも離れられない

time 2023/12/19

この記事を読むのに必要な時間は約 11 分です。

自閉症、ADHDの攻撃してくる息子。命が危険でも離れられない

窓が割れる鋭い音を聞くとすぐに、母親のエラは自分の命を賭けた戦いが再び始まっていることを知りました。

「クソ殺してやる」

息子のジェシーが叫びます。
心臓が高鳴ります。

ジェシーの小さな手が20センチのガラスの破片に手を伸ばしておいるところが目に入りました。
そして、それがエラの顔に向かってきました。

エラは腕を回し、ジェシーを地面に押し倒し、そしてしっかりと抱きしめました。
子どもたちや隣人は慌てて警察を呼んでいました。

家族のことをよく知っている警察官がすぐに到着しました。
ジェシーは、施設に収容されます。
数日後、ジェシーが帰宅してエラに寄り添うと、エラは忘れたふりをしました。

「悪い日でも、すべてがうまくいかなかったときでも、ジェシーは私からの愛、育成、受け入れを求めています」

ジェシーはエラの 12歳の息子です。
エラは離れ離れになってしまうのではないかと心配しています。
ジェシーは「信じられないほど敏感な」子どもでした。

「息子は他の子どもたちのグループに入るのが好きではありませんでした。
しかし、家族にはとても懐いており、私とも本当に仲が良かったのです」

ジェシーは父親からの家庭内暴力の被害者であり、自閉症スペクトラム障害(ASD)と注意欠陥多動性障害(ADHD)と診断されています。

歯を磨くように、ノートパソコンを置くように、学校に行くために起きるよう頼むと、「ほぼ確実に」暴力につながると言います。
身体的攻撃は週に3回は起きます。
ほとんどの場合、それは母親のエラに向けられ、首を絞められたり、顔面を蹴られたり、殴られたりします。

エラは、エスカレートした場合は隠れて警察に電話し、最後の手段として身体拘束をするよう言われています。

包丁やその他の鋭利な物を置いておくことはできません。
それらはいつも金庫に入れてあります。
家族の安全計画の一環として、ジェシーの兄たちは寝室のドアに鍵を取り付け、非常用持ち出し袋を詰めています。

「ときどき、上の子が、ジェシーが日中に私に何をするか心配で学校に行きたくないと言います」

多いときには、警察が2週間に5回出動し、施設に入れる命令を発しました。
当初、母親のエラはそれに反対しました。

しかし今年初め、ジェシーの暴言のせいで、兄弟の一人が自殺願望を抱いたとき、考えを変えました。
兄弟たちは「司法制度が守ってくれることを信じる」と法廷で訴えました。

ジェシーをサポートするのが精一杯で、エラは仕事を辞めざるを得なくなりました。
長年にわたり、家族は行動支援専門家、メンタルヘルスサービス、家族保全プログラムなどを紹介されてきました。

「私たちに関係するほぼすべてのサービスが、私たちの生活を支援しようとしました。
しかし、リスクが高すぎるか複雑すぎるという理由でいつも終了しました。

私が恐れているのは、息子のジェシーがいつか私を殺してしまうのではないかということです」

必死の試みとして、母親のエラは児童保護当局に連絡を取りました。
児童保護局独自の介入により、ジェシーは一時的に養護施設に送られることになりました。
ジェシーがいなくなった最初の夜、エラはひどい罪悪感を感じました。

「怖くて悲しくて心が張り裂けそうでした」

児童保護職員らはエラに対し、ジェシーの養護を放棄することを検討するよう要請しました。

「本当に正直に言うと、深く悩んで、自殺まで考えます。
このままではいけないような気はしますが、決められません。

とても聡明で愛情深く、これまで不当に厳しい人生を送ってきたジェシーが、サポートできないために家族から引き離されてしまうのです」

最近エラに贈られた誕生日カードに書かれた、ジェシーからの言葉がすべてを物語っています。

「最近もやってしまってごめんなさい」

エラと同じように、母親のジェーンも自分の子どもを恐れて生きてきました。

レオが5歳くらいのとき、攻撃的な行動を示し始めました。
成長するにつれて強くなったので、ジェーンはレオを制御するために抜本的な手段に訴えました。

「私はリスペリドン(抗精神病薬)で息子を拘束し、薬が効き始めるまでただ座っていました。
命の危険を感じたので、2回警察に通報しなければなりませんでした」

ジェーンは介護者支援サービス、児童精神保健ユニット、ライフラインに連絡を取りましたが、無駄でした。
そして、ジェーンは自殺寸前になって児童保護サービスに電話をしました。

「私は、娘たちと私自身が危険であると報告しました。
二度ほど電話をして、介護を放棄したいと言いました。

彼らは『ケースマネージャーがいないので、折り返し連絡します。誰かが来て話をさせます』と言うだけで、何も起こりませんでした」

レオは幼少期にトラウマを経験し、自閉症とADHDと診断されています。

最終的には、家族は行動療法と週5時間のサポートを受けることができるようになりました。

ポジティブ行動サポート実践者のエミリー・ベイッチは、遊びベースの学習を通じてレオが自分の感情を理解できるようサポートします。

「彼がかなり複雑なプロフィールを持っていることを考えると、彼の進歩は信じられないほどです」

ベイッチはまた、レオが高揚したときに対処するための実用的な方法をジェーンに教えました。
問題行動を起こすとき、母親のジェーンは息子のレオに指示を与えることを控え、ゆっくりと離れながらレオのボディランゲージを観察します。

「その後に、話したいと思ったら、レオに近づいて誘導するのです」

ジェーンは、治療と薬の増量を組み合わせた結果、家族が「通常の生活に戻る」ことができたと言います。

「私たちはとても幸せになりました。家族としてうまくやっています。
たとえ助けを得るのに苦労したとしても、状況は改善する可能性があります」

専門家によると、親が子どもを手放すことは多くありません。
一方、子どもから親への暴力の報告はより多くなっています。

オーストラリアのニューサウスウェールズ州だけでも、過去1年間に912人の親が我が子からの家庭内暴力の被害者であることが、州犯罪統計調査局のデータで示されています。
オーストラリアの国立女性安全研究機関による5000人以上の若者を対象とした全国調査では、成人の家庭内暴力が多くの人にとって壊滅的な結果をもたらしていることが確認されました。
2022年の調査では、家庭内暴力を目撃または経験した若者の半数がその後も暴力を振るったことが判明しています。

この調査を行ったシルケ・マイヤー教授は、支援サービスは子どもたちを危害から遠ざけることで手一杯になっていると述べています。

「私たちは、子ども中心の回復支援を提供できる機会を逃しています。
若者が家庭内で暴力を受けながら成長し、その後家庭内で暴力を振るう人になる危険性が高いことが分かりました。
それが、機会を逃した結果です」

マーク・ダッズ教授は、重度の行動上の問題を抱えた子どもたちの治療に取り組んでいます。
豪シドニー大学の児童行動研究クリニックで、困難な行動に対処する方法を親たちにアドバイスしています。

「現在、オーストラリア全土で、攻撃性が非常に強く、実際に他の子どもたちにとって危険となっている子どもたちがいます」

攻撃性と非協力のサイクルを断ち切るのは難しいかもしれないものの、子どもたちの行動を褒めることが助けになると言います。

「子どもたちが良い姿勢をとっているのを観察し、良い行動の例を見つけてそれに焦点を当ててみてください」

インクルージョン・オーストラリアのキャサリン・マカルパインは、支援ネットワークが利用できないのは、最も複雑なニーズを抱えた家族であることが多いと語ります。

「どんな家族も、子どもを手放す必要があると感じるべきではありません。
生活が崩壊しつつある瞬間に、危機に瀕した人々に判断を任せ、適切な支援を見つけさせようとするべきではありません。
障害のある人が被害者となります。
彼らは家族を失い、支援者全員を失う危険にさらされているのです」

自閉症のジム・ミュランは、攻撃性は「自閉症の特徴ではなく」、幼少期のトラウマと関連していることが多いと言います。

「現実には、行動や暴力がエスカレートする子どもたちのほとんどの場合において、これは学習した行動です。
それは環境要因により学習した行動です」

ミュランは、障害を抱えて生きている人は、逆に、虐待される可能性が高いことを人々に知ってほしいと考えています。
豪国家障害保険庁の広報担当者は、子どもたちとその家族はニーズを満たす支援を受けるべきだと述べています。

「家族が家庭内で子どもを最大限にサポートできるよう、さらなる取り組みが必要であることは承知しています」

母親のエラと息子のジェシーの事件に関与している当局は、子どもを家から連れ出すことは「常に最後の手段」であると述べています。

母親のエラはあとどれくらい耐えられるだろうかと考えています。

「2年前なら、『ジェシーが私の命の危険を感じるほどになったら、それが限界だ』と言っていたでしょう。
しかし、それははっきりわかるものではありませんでした」

(出典:豪abc)(画像:たーとるうぃず)

自分を傷つける、誰かを傷つける、強度行動障害をかかえている場合、壮絶です。

そうした子と家族を私も知っています。思うと本当に本当に胸が痛みます。

今は別々に暮らしていらっしゃいますが、それは親子にとって間違いなくベストであったと思います。

それしかなかったと思います。

こうした状況であれば、決して家族で抱え込まずに、行政や専門機関に必ず相談されてください。

自閉症の少女の深刻な自傷行為が止まった。脳深部刺激療法

(チャーリー)


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