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自己肯定感と絶望。特別支援が必要な子の親についての研究

time 2025/07/28

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自己肯定感と絶望。特別支援が必要な子の親についての研究

この記事が含む Q&A

特別な支援が必要な子どもを持つ親の気持ちにどんな影響がありますか?
親の自己肯定感が高いほど、未来に希望を持ちやすくなることがわかります。
親の経済状況や学歴は、子育ての気持ちにどう関係していますか?
経済的に余裕や高い教育を受けている親ほど、前向きに子どもと向き合う傾向があります。
どのような支援や社会の理解が親の気持ちを助けるのでしょうか?
安心して話せる場や、似た経験を持つ人と出会える機会、社会の温かい目が親の心の支えとなります。

子どもが生まれるとき、ほとんどの親は「元気に育ってほしい」と願います。

しかし、思いがけず、特別な支えが必要な子どもが生まれてくることがあります。
たとえば、知的な発達がゆっくりだったり、ことばや体の動きに違いがあったり、社会との関わりが苦手だったり。
そうした子どもたちは、いわゆる「特別な支援が必要な子ども」と言われています。

今回の研究はトルコのチャンクル・カラテキン大学、アンカラ大学らのチームにより行われた、そうした子どもを育てているお父さん・お母さんの「気持ち」に注目したものです。
舞台はトルコのある地方都市。
経済的にはあまり豊かではないこのまちにある、たった1つの特別支援教育の施設に通う子どもたちの保護者200人が参加しました。

研究の目的は、「親の気持ちの明るさ・暗さに関係していることは何か」を調べることでした。
とくに、「自分を大切に思う気持ち(自己肯定感)」と、「もうどうにもならないと思う気持ち(絶望感)」の関係に注目しています。

子どもが特別な支援を必要とすることがわかったとき、親の心にはさまざまな感情がわき起こります。
最初はショックを受け、「なんでうちの子が」と感じたり、「そんなはずない」と思ったりすることもあります。
ときには怒りや不安、罪悪感におそわれることもあります。
少しずつ気持ちが落ち着いて、子どもと向き合えるようになるまでには、時間がかかります。

でも、すべての親がうまくその段階を通れるわけではありません。
中には、「この先どうすればいいのか」と、強い不安やあきらめの気持ちにとらわれる人もいます。
研究チームは、そうした気持ちがどこからくるのか、何が影響しているのかを知ろうとしました。

研究では、参加した保護者に対して質問票を配り、「どれくらい自分に自信があるか」や「将来にどんな思いを持っているか」などを聞きました。
子どもがどんな障害をもっているか、どれくらいの重さなのか、保護者の収入や学歴、また「もう一度子どもを持ちたいかどうか」といったことも聞きました。

集まったデータを見てみると、あることがはっきりとわかりました。

それは、「自分を大事にできている親ほど、将来に対しても希望を持てている」ということです。
反対に、「自分に自信が持てない」と感じている親ほど、「もう何も良くならないのでは」と思ってしまいがちでした。

たとえば、家庭の経済状況が良いと感じている親ほど、自分を肯定できていて、将来への希望も失っていませんでした。
反対に、生活が苦しいと感じている親ほど、「自分はダメだ」と思いやすく、将来にも不安やあきらめを感じていました。

また、「もう一人、子どもがほしい」と思っている親は、自分に自信があり、前向きな気持ちを持っていました。
一方で、「もう子どもはいらない」と答えた親は、気持ちが沈んでいたり、自分に自信がなかったりする傾向が見られました。

子どもの障害の重さも、大きく影響していました。
子どもが重い障害を持っているほど、親の心は苦しくなり、自信を失いがちです。
とくに、知的な障害だけでなく、身体の障害や聴こえの障害もある場合は、その影響がより強く現れていました。
親は、日常的にとてもたくさんのことに気を配り、助けを求める時間も少なく、自分を責める気持ちにもなるのです。

子どもがまだ小さいうちは、不安も大きくなりがちですが、年齢が上がるにつれて、親の絶望感は少しずつ和らぐ傾向もありました。
時間がたつにつれて、親自身が子どもの特性を理解し、生活のリズムも整い、気持ちにも少し余裕が出てくるのかもしれません。

また、親の学歴も関係がありました。
より高い教育を受けている親のほうが、問題に対して前向きにとらえたり、情報を集めたり、人に相談したりしやすいという傾向が見られました。
それによって、不安や絶望を感じることが少なくなっているようです。

この研究が示していることは、とてもシンプルです。
「自分を大切に思える親ほど、前を向いて子育てができる」ということ。
そして、その親の気持ちを支えるものは、経済状況や学歴だけではなく、社会の理解や周囲の支え、人とのつながりでもあるということです。

この研究の中で、研究者たちはいくつかの提案もしています。
たとえば、親が安心して話せる場所をつくったり、似た境遇の人と出会える場を設けたり、前向きな気持ちを持てるような心理的なサポートを行うこと。
また、社会全体が、特別な支援が必要な子どもやその家族をもっとあたたかく見守る雰囲気を持つことも大切です。

子どもの特性を否定せず、「この子はこの子のままでいいんだ」と親が思えるようになるまでには、たくさんの時間と支えが必要です。
その支えは、家族の中だけでなく、まわりの人や社会全体からも届くべきものです。

「どんな子どもでも、大切に育てられる社会にするにはどうすればいいか」

この研究は、その問いに対するヒントを私たちに投げかけています。
親の気持ちが折れないように。
子どもたちが安心して育っていけるように。
まずは、親の心を支えることから、はじめていく必要があるのです。

(出典: BMC Psychology)(画像:たーとるうぃず)

覚悟を決め、自分を奮い立たせ、前を向いてください。

子どもの笑顔のために。

それを見ればあなたも笑顔になります。

自閉症の人はスキルを失うことがある。そして戻ることもある。

(チャーリー)


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