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「見えない障害」を生きる。自閉症の私が感じる冷酷なジレンマ

time 2025/08/03

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「見えない障害」を生きる。自閉症の私が感じる冷酷なジレンマ

この記事が含む Q&A

自閉症などの「見えない障害」を社会に理解してもらうにはどうすれば良いですか?
障害の経験や困難を丁寧に共有し、偏見や誤解を解く活動が重要です。
どうすれば自分の苦しみを正直に伝えやすくなりますか?
信頼できる環境や支援者と関係性を築き、少しずつ自己表現を練習することが効果的です。
社会はなぜ、「見えない障害」の人に対して理解不足や無理解を示すことが多いのですか?
外見や行動が普通に見えるため、その痛みや苦労を理解しにくいためです。

「見えない障害」のパラドックスは、あまりに残酷で、果てしない消耗のループです。
わたしは社会から、自閉症であることを隠すように、目立たないように、まわりを不快にさせないように、と言われ続けています。
自分のあり方とは正反対の「ゲーム」を演じるよう求められているのです。

そしてそのゲームをうまく演じられると、わたしは「報われる」のです。

感覚過敏で頭が燃えるように感じても、肌に電流が走るような不快があっても、それを無理に抑えて「ふつうのふり」をすることで、「すごいね」「よくがんばってるね」と言われます。
つまり、「つらさを黙ってやり過ごす力」が高いほど、社会的な価値があるとされるのです。

わたしは「高機能」だとか、「インスピレーションを与えてくれる」だとか、「他の自閉症の人たちとはちがうね」だとか、そんな言葉をかけられます。
それはまるで褒め言葉のように聞こえるかもしれませんが、実際には「あなたが黙って苦しんでいるからこそ、わたしたちは安心できる」と言っているに等しいのです。

でも、いざわたしが「助けが必要です」と伝えようとすると、その「仮面」が逆効果になります。

「えっ、あなたって障害があるように見えないけど?」「ふつうに見えるけど?」「それ、本当に必要なの?」「あれだけがんばってきたんだから、もう大丈夫なんでしょ?」と、疑いの目で見られてしまいます。

わたしの困難は、外からは見えにくいものです。
そのため、必要な支援を何度も断られてきました。
わたしが「できること」ばかりに注目されて、「できないこと」は無視されてしまうのです。

そして、わたしが自分の限界について正直に語ろうとすると、「そんなにネガティブに考えちゃダメだよ」と言われてしまいます。
まるで、「自分の痛みについて語ること自体が悪いこと」であるかのように扱われるのです。

でも、足の骨を折った人に向かって「それってただの悲観じゃない?」と言う人はいません。
ところが、自閉症の痛みについては、そう言われることがあるのです。

そして、こうした無理解は、なんと「障害福祉の専門家」の中にも見られるのです。
本来なら、いちばん理解しているはずの人たちからです。

この矛盾は、わたしを「逃げ場のない空間」へと閉じ込めてしまいます。
わたしが苦しみを見せると、社会からは「扱いづらい」「感情的すぎる」「プロらしくない」と批判されてしまいます。
では専門家に支援を求めて、自分のつらさを説明すると、今度は「大げさだ」「被害妄想だ」「過敏すぎる」「ウソをついている」「障害とは言えない」と言われてしまいます。

どちらにしても、わたしは「負け」なのです。

この構造は、「支援を得るには、痛みをさらけ出さなければならない。
けれど、社会で受け入れられるには、その痛みを隠さなければならない」

という、冷酷なジレンマです。

わたしは「目に見えない存在」になるように求められながら、同時に「見える形で自分の存在を証明せよ」とも求められているのです。

それは、ふつうの人には気づかれない「心理的な重税」です。
しかし、それを生きている人にとっては、心のすべてを飲み込んでしまうような重みなのです。

社会は、わたしの達成や成果だけを見ます。
ステージで話している声は聞こえても、その前にあった精神的なパニックは知りません。
そして、すべてに押しつぶされて崩れ落ちたとき、わたしはこう言われます。

「どうしたの? うまくいってたじゃない。」

(出典:英Psychology Today)(画像:たーとるうぃず)

うちの子は重度の自閉症’で知的障害もあり、話すこともできません。

なので、特別支援学校や生活介護支援施設に通わせることに、何の迷いもありませんでした。

言ってしまえば、ここまで振り切れていると「見える」障害であり、多くの人にも支援が必要とわかるからです。

しかし、そこまででない「見えない」障害であるかたは、だからこその多くの困難や苦労があります。

発達障害のような「目に見えない」障害と「見える」障害の違い

(チャーリー)


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