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発達障害や知的障害の人の未来を変えるのは「環境」の力

time 2025/10/30

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発達障害や知的障害の人の未来を変えるのは「環境」の力

この記事が含む Q&A

レジリエンスとは何で、環境がなぜ関係するのですか?
レジリエンスは困難を乗り越え自分らしく生きる力で、環境や社会とのつながりが大きく影響します。
どんな要因がレジリエンスを高めるとされていますか?
家族の支えや周囲の理解、制度の利用のしやすさ、学校や職場の参加しやすさ、安心して楽しめる余暇の場、睡眠とエネルギーが大きく関係します。
今後の取り組みとして何を目指していますか?
ICFを用いたレジリエンス評価のコア・セットを作り、学校や医療、福祉が同じ地図で支援を設計できるようにすることを目指します。

神経発達の特性があるとき、その人がどんな未来を歩めるかは、「生まれつきの力」だけでは決まりません。

どんな仲間に恵まれるか。

どんな場で生活できるか。

まわりの人がどう見て、どう関わるか。

それらの積み重ねが、
人生の進み方に大きく影響するのです。

今回、ラ・トローブ大学(オーストラリア)とカロリンスカ研究所(スウェーデン)を中心とした研究チームは、
神経多様性のある人の「レジリエンス」に注目しました。

レジリエンスとは、つらいことがあっても折れず、自分らしく生きていける力のことです。

研究では、医療・教育・福祉にかかわる専門家198人にアンケートを実施しました。
対象となったのは、自閉症、ADHD、知的障害、発達性協調運動症(DCD)などの支援に携わる人たちです。
「レジリエンスを助ける要因」「リスクを高める要因」について、自由に意見を書いてもらいました。

そして回答ひとつひとつを、世界保健機関(WHO)のICFという国際基準を使って整理しました。
ICFは、からだや行動だけでなく、生活のしやすさ、社会参加、環境の質まで含めてその人を理解しようとする枠組みです。

すると意外なことがわかりました。

専門家たちの多くが、「個人の能力」よりも「環境」や「社会とのつながり」をレジリエンスに深く関係する要因として挙げていたのです。

  • 家族の支え。
  • 友人や周囲の理解。
  • 制度やサービスの利用しやすさ。
  • 参加しやすい学校や職場。
  • 安心して楽しめる余暇の場所。

それらが整っているとき、人は伸びやすい。

逆に、否定的なまなざし、過度な要求、たらい回しになる制度などは、それだけで力を奪います。

「生まれつきの特性」そのものが問題なのではなく、それを包む環境次第で、同じ特性が強みにも困難にもなる。

研究チームは、そのように示しました。

さらに、睡眠とエネルギーもとても大切な要因として数多く挙げられました。
よく眠れ、疲れが溜まらない生活は、感情を整えたり、集中したりする力の基盤になるからです。

もちろん、個人の力がレジリエンスの一部であることも確かです。

  • 気持ちを切り替える力(感情調整)
  • 新しい考えを試してみる姿勢
  • 計画を立てる力

これらが助けになる場面も多くあります。
ただしこれらも、環境が整ってこそうまく働くのです。

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研究チームは、こう伝えています。

レジリエンスは、「その人の中だけ」にあるわけではない。

まわりの関わり方が、人を強くも弱くもする。

専門家たちの視点から見えてきたのは、
そんな当たり前でいて、とても大切な真実でした。

この研究の先には、ICFを使ってレジリエンスを評価する「コア・セット」をつくる計画もあります。
学校や医療、福祉が同じ地図を使うことで、その人に合った支援をもっと柔軟に設計できるようになります。

研究チームは言います。

レジリエンスは「自然に育つもの」ではありません。
育てることができる力です。

  • 家族がいる。
  • 理解ある仲間がいる。
  • 計画を立てて未来を描ける。
  • 休める場所がある。
  • 参加してみたい場所がある。

それらが整うとき、神経多様性のある人たちは、自分のリズムで前に進む力を発揮できます。

だから、変えるべきなのは本人ではなく「環境」なのです。

社会が少し形を変えるだけで、誰かのレジリエンスは静かに、そして大きく育っていきます。

神経多様性のある人が生きやすい世界は、みんなにとっても、生きやすい世界です。

この研究は、その方向へ一歩を踏み出すための地図を、わたしたちの手に渡してくれています。

(出典:Nature Scientific Reports DOI: 10.1038/s41598-025-25079-0)(画像:たーとるうぃず)

「環境」の影響は大きいと思います。それはそうでしょう。

しかし、「環境」は自分ではどうにもならないことが多いです。

良い方向へ変わらなければならないし、そうなってほしいですが、その人にとって「完璧な環境」になることはありません。

なので、どうにもならないことに、自分の人生の責任を負わせる思考にはなってほしくありません。

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(チャーリー)

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