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ADHD特性とネット依存。睡眠、実行機能、運動との関係性

time 2026/02/11

この記事を読むのに必要な時間は約 7 分です。

ADHD特性とネット依存。睡眠、実行機能、運動との関係性

この記事が含む Q&A

学生におけるADHD特性とインターネット依存の関係はどのように説明されていますか?
ADHD特性が強いほどインターネット依存の症状が強い傾向がありますが、直接の因果ではなく媒介要因があると説明されています。
どの要因がADHDとインターネット依存の関係を媒介しますか?
実行機能の困難と不眠が主な媒介要因として示されています。
介入の観点から、どのような生活習慣の工夫が有効と示されていますか?
中等度以上の運動を取り入れ、睡眠習慣を整え、計画・時間管理を補助する工夫を組み合わせることが有効です。

スマートフォンやSNS、動画配信サービス、オンラインゲーム。
今の社会では、インターネットは生活に欠かせない存在です。

一方で、「やめたいと思ってもやめられない」「気づくと何時間も使っている」「生活リズムが崩れている」といった悩みを抱える人も増えています。
とくに、ADHDの特性をもつ人は、インターネットとの付き合い方が難しくなりやすいのではないか。
この疑問に対して、本研究は重要な手がかりを示しています。

中国のフナン省ブレインホスピタル、セカンドシャンヤホスピタル 国家精神疾患臨床研究センター、フナン中医薬大学臨床医学院など、複数の精神医学・臨床医学系研究機関の共同チームによって行われた、この研究では、中国フナン省の6つの理工系大学に在籍する1,925人の大学生を対象に調査を行いました。
質問紙を用いて、次のような点が評価されています。

・ADHDの特性の強さ
・インターネット依存の症状
・実行機能の困難さ(計画、時間管理、感情コントロールなど)
・不眠の程度
・運動の頻度・強度・継続期間

その結果、次の割合が明らかになりました。

・ADHDの特性が臨床レベルと考えられる学生:12.52%
・インターネット依存の症状がある学生:14.03%

つまり、大学生のおよそ8人に1人がADHD特性を示し、7人に1人がインターネット依存のリスクを抱えていることになります。
さらに重要なのは、ADHD特性とインターネット依存がはっきりと関連していた点です。
ADHD特性が強い学生ほど、インターネット依存の症状も強い傾向がありました。

ただし、この関係は「ADHDだから直接インターネット依存になる」という単純なものではありません。
研究では、その間に2つの重要な媒介要因が存在することが示されました。

・実行機能の困難
・不眠

実行機能とは、次のような能力をまとめた呼び方です。

・やるべきことを計画する
・順番を考えて行動する
・時間を管理する
・衝動を抑える
・感情を調整する

ADHDの特性がある人は、これらの実行機能に困難を抱えやすいことが知られています。
本研究でも、ADHD特性が強いほど、実行機能の困難が強く、そしてその困難がインターネット依存と関連していました。
つまり、

ADHD特性
→ 実行機能の困難
→ インターネット依存の症状

という経路が確認されたのです。


もう一つの媒介要因が不眠です。

寝つきにくい
夜中に何度も目が覚める
睡眠時間が短い
日中に強い眠気がある

こうした不眠の症状も、ADHD特性が強い学生ほど多く、そして不眠が強いほどインターネット依存の症状も強くなっていました。
経路としては、

ADHD特性
→ 不眠
→ インターネット依存の症状

が成り立っていました。

さらに、実行機能の困難と不眠は互いに関連し合っており、両方が同時にADHDとインターネット依存の橋渡しをしていることが示されました。
ここで大切なのは、研究者たちが「運動(身体活動)」にも注目した点です。
学生たちは、運動量によって次のように分類されました。

・運動をしていない
・低強度の運動
・中等度の運動
・高強度の運動

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分析の結果、
中等度以上の運動をしている学生は、インターネット依存の症状が有意に少ない
ことが明らかになりました。
とくに高強度の運動を行っている学生では、インターネット依存のリスクが大きく低下していました。

一方、低強度の運動では、運動しない場合と大きな差は見られませんでした。
さらに興味深いのは、運動が直接インターネット依存を下げるだけでなく、

・実行機能の困難を軽減する
・不眠を和らげる

という形で間接的にも効果を発揮していることです。
つまり、

運動
→ 実行機能が改善
→ 不眠が軽減
→ インターネット依存の症状が弱まる

という経路が確認されました。
この研究が伝えている大きなメッセージは、次の点です。

ADHD特性のある人がインターネット依存になりやすい背景には、

・計画や時間管理の難しさ
・感情や衝動のコントロールの難しさ
・睡眠の問題

といった日常的な困難の積み重ねがある。
そして、これらは運動という生活習慣の工夫によって改善できる可能性がある。

この結果は、ADHDやインターネット依存を「本人の意志の弱さ」の問題として見る考え方を否定します。
むしろ、

・脳の特性
・睡眠の質
・生活リズム
・身体活動

といった複数の要因が絡み合った結果として起きている現象だと示しています。
支援の視点としては、

・インターネットの使用時間を無理に制限するだけでなく
・睡眠習慣を整える
・計画や時間管理を補助する工夫をする
・中等度以上の運動を生活に取り入れる

といった多面的なアプローチが重要になります。

この研究は横断調査(1時点の調査)であり、因果関係を断定できるものではありません。
しかし、大規模なサンプルと統計モデルを用いて、ADHD、実行機能、不眠、運動、インターネット依存の関係を同時に示した点に大きな意義があります。

インターネット依存は、「意志が弱いから起きる問題」ではありません。
ADHDの特性をもつ人が、現代社会のデジタル環境の中で必死に適応しようとした結果、生まれている側面があります。

その背景を理解し、責めるのではなく、環境と生活習慣を整えることで支える。
本研究は、その重要性を明確に示しています。

(出典:Frontiers in Psychiatry DOI: 10.3389/fpsyt.2026.1737793)(画像:たーとるうぃず)

よく眠り、よく運動する。

どんな人にも望まれる、基本ですね。

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