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発達障害児の親が抱える自分亡き後の心配

time 2016/12/07

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発達障害児の親が抱える自分亡き後の心配

スリーブドナルド山の頂上から数メートルのところで、ナサン・ピエソンは母親のほうに振り返って、にっこり笑顔を見せました。
自分にこんなことができるとは思っていなかった若者です。
母親も微笑み返すと手を振りました。
ナサンは頂上へ駆け上がりました。彼のスーパーマンのマントが風に吹かれていました。
ナサンは高所恐怖症に打ち勝ち、数千ポンドの寄附が出来ました。
「息子は本当にいい子なんです。」母親のレザが言います。
「息子は大きな心と強い意志を持っています。
息子の目を通じてすべてが輝いて、たくさんの人が息子に感動しています。
息子は特別な若者です。」
ナサンはこれまでにも多くの挑戦をしてきました。たくさんの注目を浴びました。
3歳の時に発達障害と診断をされました。
ナサンは話すことや学習にも障害があります。
誰かを助けようと話したり働きかけることは難しいことですが、そのナサンはいつもしています。
ナサンの登山は、2012年の10月に母親のレザが友だちと山登りをしているときに、足首の骨を折ってしまったことから始まります。
母親のレザは思い出します。
「私は3箇所を骨折し、ギブスを巻いていました。およそ1年間何もできませんでした。
息子のナサンにとってもストレスがたまるものでした。」
「私が事故にあって助けられてから、ナサンは救助をしてくれた人たちに感謝をしたいと願っていました。
そのため息子は高いところが怖いのですが、挑戦し克服したいと考えました。
そして、高い山に登ろうと決めました。それがドナルド山でした。」
今は20歳。
3年間、小さな丘や山からはじまって、より高いところに慣れようとナサンはこれまでトレーニングを続けてきました。
「山を歩くことを続けて、息子には自信がついてきました。
そして、高い山、ドナルド山に登るその日には、50人もの人がスーパーヒーローの格好をして一緒に登りました。
とても興奮しました。
頂上に着こうとすると、ナサンはあと数メートルのところで立ち止まって、言ったんです。
「ママ、待ってるよ。」
「いいの、ナサンがすることなの、早く行って!」
そして、息子はしっかりと、自分ひとりで自分自身で頂上に着きました。」
最初の寄付金を募る登山イベントを行った時には、ナサンは150ポンド(約22000円)を集めたいと考えました。
しかし、これまでにもうその数字は超えています。
1年間を過ぎると、13000ポンド(約190万円)を超える金額を、モーン山岳救助サービスに寄付することができました。
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これまで、寄付金を募るイベントが全てうまくいったわけではありません。
ナサンは地元の企業に寄付金のお願いをして断れても、粘り強く取り組みました。
「ナサンがしたいのは、人に役立つこと、人にできるかぎりのことをすることなんです。
息子は自分がかわいそうなんて全く思っていません。」
それは、ナサンが苦労をしていないというわけではありません。
悲しくなることもたくさんあったと言います。
「ときどき、息子は他の人たちを見て、自分は他の人と違っているとわかっています。
とくに、彼女を連れた同世代の男性を見るとこんなことを言います。
「ママ、誰か僕のことを好きになってくれないかな。そうしたらママが休めるよ。」
息子は自分のことをかわいそうだとは思っているわけではありません。
息子は母親の私に休んで欲しいととても心配をしてくれているのです。
息子は、自分が発達障害でなければ、自分が自分でなくなると考えていて、どうしてよいのか自分でもわかりません。
息子はオープンに何でも教えてくれます。それが自分にも良いようです。」
母親のレザが、ナサンがどう思っているのかが、よくわかるようになったのは、ナサンが書いたあるものを見つけてからです。
「ナサンはリストを書くのが大好きです。
ある時、息子は寝ないで書いていました。
そのリストには、映像と音楽の名が書かれていました。
自分の結婚式で使うものでした。
結婚式の始まりから終わりまでの。
それを見て、悲しくなりました。
それから、私も息子もお互い隠し事をやめました。
私はできる限り、何でも説明しました。それで息子が怒ることになっても。
ナサンは本当に自分を愛してくれる人、自分が愛するのと同じくらいに愛してくれる人が欲しいと言いました。
ここに来て一緒に住んでくれる人が欲しいと。
息子は、結婚式の予定を立てていました。
音楽だけでなく、出し物や結婚式に呼ぶ人のリストも作っていました。」
ナサンの両親はどちらも48歳。ナサンの将来を心配しています。
「息子が結婚して、自分の家族を作るのはとても難しいと思います。それはとても私にとってつらいことです。
発達障害の子を持つ親であれば誰でも、自分がいなくなった時のことが心配なはずです。
子どもはどうなってしまうのか。
息子のナサンには、たくさんの友だちがいて、息子を愛してくれています。
多くの人たちが息子をかまってくれるはずです。
けれど、どうなるかはやはりわかりません。
もしかすると私の予想を裏切って、息子にいい人が現れて、そうなってくれることがあるかもしれません。
信じるしかありません。
息子がそう思うのなら、私もそう思わないでどうしますか。
それが私がすべきことなんでしょう。」
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(出典・画像:英belfastlive
 
親はみんな心配だと思います。
私も1秒だけでいいので子どもより長生きできればと望んでいます。
しかし望んでも、それは難しいでしょう。
また、望むだけではしかたないので、自分の健康にも気をつけつつ、生きているうちに役にたちそうなことはしようと常に心にあります。
しかしあまり深刻になると、自分がより早く死んでしまうと思うので、気楽に、気長に取り組んでいます。
 
こちらの方はパートナーを見つけたようです。
博物館で働く彼女はレッテルを乗り越えた代表者

(チャーリー)


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