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ADHDの子にとって「学校は公平か」という感覚が学習を左右

time 2026/01/31

この記事を読むのに必要な時間は約 7 分です。

ADHDの子にとって「学校は公平か」という感覚が学習を左右

この記事が含む Q&A

ADHDのある子どもは学校が公平だと感じにくい傾向があるのでしょうか?
ADHDのある子どもはない子どもと比べて「学校は公平でない」と感じやすいことが示されています。
学校の公平さと学習上の問題の関係は、ADHDの有無で違いが出ますか?
学校を公平だと感じるほど学習上の問題が少なくなる傾向があり、ADHDのある子どもではこの関連が特に大きく現れます。
学校づくりで特に重要とされている取り組みは何ですか?
ルールの一貫性、背景の説明、予防的な関わりを重視することが挙げられています。

この研究は、アメリカのシンシナティ小児病院医療センターを中心とする研究チームによって行われました。
早期思春期(10〜12歳)の子どもたちを対象に、「学校がどれくらい公平だと感じているか」という感覚が、学習の様子とどのように関係しているのかを調べています。
とくに、ADHDのある子どもと、そうでない子どもで、その関係に違いがあるのかが検討されました。

多くの研究から、ADHDのある子どもは、成績が低くなりやすい、学習面でつまずきやすい、友だちや先生との関係で困りごとを抱えやすいといった傾向が知られています。
ただし、すべての子どもが同じように困難を経験するわけではなく、比較的うまく学校生活を送れている子どももいます。
そこで近年は、「何があればうまく適応できるのか」という“支えとなる要因”に注目が集まっています。

その中で注目されているのが「学校風土(スクール・クライメート)」です。
これは、学校の雰囲気や人間関係、ルールのあり方、学びの環境など、学校全体の空気感を指します。
研究者たちは、この学校風土の中でもとくに「公平さ」に注目しました。

ここでいう公平さとは、「先生や学校が、すべての生徒を平等に、偏りなく扱っていると感じられるかどうか」という感覚です。
たとえば、「えこひいきされていない」「ルールが一貫している」「理由なく怒られない」といった感覚が含まれます。

研究チームは、10〜12歳の子ども341人を調べ、そのうち約半数がADHDと診断されていました。
子どもたちは質問紙に答え、

・学校は公平だと思うか
・学校に対してどんな気持ちをもっているか

を報告しました。
一方、担任の先生は、

・学習上の困難さ(課題がうまくできない、理解が遅れるなど)
・学習スキル(宿題を出す、計画的に取り組むなど)

について評価しました。

まず分かったのは、ADHDのある子どもは、ADHDのない子どもに比べて、「学校はあまり公平ではない」と感じやすいということでした。
差は大きくはありませんが、統計的には意味のある違いでした。

また、ADHDのある子どもは、

・学校がきらい、楽しくないと感じやすい
・学習スキルが低いと評価されやすい
・学習上の問題が多いと評価されやすい

という傾向も確認されました。

次に、「公平さの感じ方」と「学校での様子」の関係が調べられました。

その結果、学校を「公平だ」と感じている子どもほど、

・学校に対する否定的な気持ちが少ない
・学習スキルが高い
・学習上の問題が少ない

という関連が見られました。

つまり、「この学校はちゃんとしている」「自分はちゃんと扱われている」と感じられることが、気持ちや学習態度と結びついている可能性が示されました。

さらに重要だったのが、「ADHDがあるかどうかで、この関係が変わるのか」という点です。

分析の結果、「学習上の問題」に関して、はっきりした違いが見つかりました。
学校を公平だと感じている場合、ADHDのある子どもでは、学習上の問題が大きく減っていました。
一方、ADHDのない子どもでも同じ方向の関係は見られましたが、効果はADHDのある子どもほど強くありませんでした。

言い換えると、
ADHDのある子どもにとって、学校を「公平な場所」だと感じられることは、学習のつまずきを減らすうえでとくに大きな意味をもつ
ということです。

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研究者たちは、この背景として「正義感や不公平さへの敏感さ」が関係している可能性を挙げています。
過去の研究では、ADHDのある人は、不公平な扱いに気づきやすく、強く反応しやすい傾向があることが示されています。
もし学校で、

・自分だけ厳しく注意される
・理由が分からないまま叱られる
・ルールが人によって違う

と感じると、強い不満や反発が生まれやすくなります。
その結果、

「どうせ頑張っても無駄」
「先生は自分を嫌っている」

と感じ、学習への意欲が下がり、課題に取り組まなくなることが考えられます。
逆に、

・ルールが分かりやすい
・注意される理由が説明される
・良い行動もきちんと認められる

といった環境では、安心感が生まれ、学習に向かいやすくなると考えられます。

一方で、「学校が好きかどうか」や「学習スキル」については、公平さとADHDの相互作用は見られませんでした。
研究者たちは、学校への気持ちや学習スキルには、友人関係、成績、自己肯定感など、さまざまな要因が絡むため、公平さだけでは説明しきれない可能性を指摘しています。

この研究が伝えている大きなメッセージは次のようなものです。

ADHDのある子どもの学習の困難さは、本人の努力不足や能力の問題だけで決まるわけではない。
学校という環境のあり方、とくに「公平さ」が大きく関係している。

そして、

学校をより公平で分かりやすい場所にすることが、ADHDのある子どもの学習を支える一つの重要な手がかりになる

ということです。

研究者たちは、個々の子どもを変えようとするだけでなく、

・ルールや対応を一貫させる
・罰よりも予防的な関わりを重視する
・理由や背景を説明する

といった学校全体の取り組みが重要だと示唆しています。

この研究は、「ADHDのある子どもは大変」という視点だけでなく、環境が変われば、困難の大きさも変わりうるという希望を示しています。
子どもが「ここは安心できる」「ちゃんと扱われている」と感じられる学校づくりが、学びの土台になるのかもしれません。

(出典:Research on Child and Adolescent Psychopathology DOI: 10.1007/s10802-025-01419-6)(画像:たーとるうぃず)

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