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自閉症と診断される女の子が少ない誤り、なくせるAIの利用

time 2020/05/22

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自閉症と診断される女の子が少ない誤り、なくせるAIの利用

統計によれば、男の子は自閉症スペクトラム障害(ASD)の診断を受ける可能性は女の子の4倍です。
しかし、それは男の子が実際にASDを持っている可能性が4倍であるからではありません。
研究および擁護団体である米オーティズム・スピークスによれば、ASDをかかえている多くの女の子は単に「男の子に見られる自閉症のステレオタイプ像とは異なる」だけです。
この性別による偏見は、親や医師たちが少女の自閉症の兆候を見逃すことにつながり、その結果、診断や療育が遅れることにつながります。
米ロードアイランド自閉症研究治療コンソーシアム(RI-CART)の研究者たちは、平均して女の子は男の子より1.5年遅れて自閉症と診断されていることを発見しています。
早く自閉症の診断ができれば、早く療育を開始できます。
そのため、これは非常に問題です。
療育のタイミングは、子どもに生涯にわたる深い影響を与える可能性があります。
実際、早期療育により、自閉症の子供たちの75パーセント以上が通常教育に参加でき、高機能自閉症の人の最大25パーセントが診断時の想定を超えて発達することが示されています。
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この女の子が正しく自閉症の診断を受けることができていないという問題に対して、AIが役に立ちます。
AIによって、自閉症をかかえるすべての子どもと家族へのケアの水準、生活の質を改善することができるのです。
自閉症の診断における性差の原因はデータにあります。
AIは大規模なデータから、知見を導き出すことに優れています。
しかし、誤ったデータ、不完全なデータは不完全な結果を導きます。それはAIであっても。
自閉症についての研究、そしてそれに基づく自閉症の診断は、男性における自閉症の現れ方に偏重してきたため、長い間、女性に正しいものではありませんでした。
自閉症と診断されることが男性に比べ極端に少なく、これまでは研究事例の対象としても少ないものでした。
その理由は、女性における自閉症の現れ方が男性とは違うためです。
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例えば最近の研究によって、自閉症の女の子は自閉症の男の子よりも、コミュニケーションの能力が高いことが明らかになっています。
また、手を羽ばたかせるなどの反復行動も少ない傾向にあり、考える、知っているなどの言葉を多く使います。
また、自閉症の女の子は自閉症の男の子よりも従順な傾向があります。
そうした特徴が、社会にある女性らしさという期待や考え方に沿うものであるために、自閉症の女の子をますます気づかせなくさせていました。
今後、AIを利用する場合にはこれまでの人間の研究者がしてきたことを後追いするのではなく、女性を見過ごしてしまっていた偏見の影響をなくしたデータを用いて行うことになります。
AIでは、さまざまな言葉や動きの指標を含む、何千もの人間の特性と特徴を評価して現在または将来の自閉症の状態を予測できます。
また、AIはASDが女の子にどのように現れるかについて、何十万人もの子どもからの大量のデータを学習することで、早期に正確な診断も可能にします。
子どもの生涯にわたる結果につながる早期療育の重要性を考えると、AIで実現できる改善が一見小さくても、大きな可能性があります。
AIの利用が増えれば、医療システムの効率も向上します。
AIベースの診断によって小児科医が子どもを迅速かつ正確に診断できるようになれば、多くの子どもをさらに専門医に紹介する必要もなくなります。
そうなれば、専門医がかかえる負担が大幅に軽減され、ボトルネックが緩和され、難しい診断に集中できるようになります。
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自閉症スペクトラム障害は、それぞれの人によって症状などは異なります。
しかし、男の子と女の子の間にある自閉症の症状の大きなギャップは、単に男の子が自閉症スペクトラムにいる可能性が大幅に高いというわけではないことを説得力をもって示しています。
ジェンダーバイアスが存在することを理解しなければなりません。
AIが理解を助けてくれる究極の道具となります。
AIと機械学習ツールを利用することで、性別に関係なく子どもの自閉症の診断と療育をもたらす、医療システムが実現できます。
(出典:米Med City News)(画像:Pixabay
誤ったことを学べば、誤った結果を導く。
それはAIでも同じです。
誤ったことに気づく、そしてそれに対応する。
その意識が何より重要です。
自閉症の私がディープラーニングのAIやロボットに思うこと

(チャーリー)


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