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自閉症の人の支援にも役立つ「マインドリーディング」測定方法

time 2021/02/19

この記事を読むのに必要な時間は約 6 分です。

自閉症の人の支援にも役立つ「マインドリーディング」測定方法

マインドリーディング(読心術)というと、超能力のようで少し怪しく思えます。

しかし、「メンタライジング」とも呼ばれるこの言葉は、他人が何を考えているかを理解するプロセスを説明するために使われる心理学的な概念です。

あまり意識していないかもしれませんが、私たちは毎日、人と接するときにマインドリーディングを使っています。
これは、他人の視点を理解したり、嫌味や嘘を言っているなど、本心ではないことを言っている人がいることを知るのに役立ちます。

マインドリーディングは、共感という心理学的プロセスとは異なります。

マインドリーディングは他の人の考えや知識を理解する(「サラはビスケットがどこにあるか知っている」)ことを含むのに対し、
共感は他の人の感情を理解する(「もしビスケットが取られたら、サラは悲しいと感じるだろう」)ことを含みます。

しかしこれまで、科学者たちは心を読むことと共感することを適切に区別していなかったため、ほとんどの心理テストではこの2つの概念が混同されていました。
私たちは、マインドリーディングと共感を慎重に分離する質問紙を開発しました。

マインドリーディングと共感は関連していますが、人が社会的な状況でどのように動作するかを理解するためには、両者を区別することが重要です。

例えば「サイコパス」の人を理解するのにはそれが重要です。
サイコパスは心を読むのは得意ですが、共感するのは苦手なことが多い。
つまり、彼らは感情とは切り離されている自分の行動で、他人を操ることができるのです。

マインドリーディングと共感力の違いは、自閉症のような人を理解するのにも役立ちます。
自閉症の人は、心を読むことに大きな困難を抱えていることが多く、人と共感することの困難は小さなことが多いのです。

共感力がやや低いことは必ずしも悪いことではありません。
感情的な判断よりも論理的な判断をするのに役立つ可能性があります。

一方で、相手の心を読み取るのが困難な場合には、友人を作ることが難しかったり、精神上の健康問題につながってしまいます。

自閉症の人と自閉症でない人を含む英国と米国の4000人以上のデータを用いて、私たちはマインドリーディングを測定するためには、わずか4つの質問をするだけでよいことを発見しました。

これらには、他人の視点から物事を見ることがどれだけ簡単か、難しいかが含まれています。
このような簡単な質問のテストを開発できたことで、非常に大きなサンプルからデータを収集することができました。
そして、マインドリーディングでは行われたことのない高度な統計分析も行いました。

この質問票は信頼性が高く、男性も女性も、自閉症の人も自閉症でない人も同じように質問を解釈していたことがわかりました。
これによって、人のマインドリーディングの能力を正確に比較することができます。

その結果、女性の方が男性よりもマインドリーディング能力は高いことがわかりました。
女性の得点はわずかですが、全体を通して一貫して男性よりも高くなっていました。

マインドリーディングの性差の理由は議論の余地があります。
遺伝やホルモンが主な原因であると主張する人もいれば、育った環境要因が原因であると考える人もいます。

私たちの研究ではまた、自閉症の人は自閉症でない人よりもマインドリーディングに困難をかかえていることを示しました。

自閉症の人の平均スコアは、非自閉症の人のスコアの25パーセント以下でした。

これは新しい発見ではないように思われるかもしれませんが、自閉症の人たちが困難を推測するためにコンピュータ化された試験を受けるのではなく、実際に直接尋ねた初めての研究となります。

ある人がマインドリーディングに困難を感じているからといっても、他の人と関わる意欲がないという意味にはなりません。

例えば、自閉症の人たちの多くはマインドリーディングの難しさを「補う」ために、信じられないほど一生懸命、頭を働かせています。
これは他の人と関わろうという意欲が高い、または高めていることを示しています。

慎重に考案された私たちのシンプルなマインドリーディングの質問票によって、より迅速かつ正確に測定を行うことができるようになるでしょう。

そしてそれは、自閉症などの人たちの理解と支援の調整にも役立つはずです。

今後は、ロボットが私たちが何を考えているかを予測し、日常生活の中で私たちを支援するための技術を開発するのにも役立つかもしれません。
人間が人間として、どのようにお互いを理解しているのかについてもっと心理学的な研究をしなければ、自分自身や人間が何を考えているのかを理解できる人工知能を開発できる可能性は低いでしょう。

英バース大学 心理学博士 レイチェル・クラッターバック

(出典:英THE CONVERSATION)(画像:Pixabay

「マインドリーディングに困難をかかえるものの、人との関わりたくないわけでない」

このような自閉症の人への正しい理解と支援に役立つ研究開発がますます進むことを期待しています。

自閉症のコミュニケーションの困難原因、失感情症と二重共感問題

(チャーリー)

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