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自閉症の子の父母が作ったチョコ工場「障害を超能力に感じる」

time 2023/01/06

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自閉症の子の父母が作ったチョコ工場「障害を超能力に感じる」

10年前、自閉症の息子に仕事を教えるために夫婦で立ち上げたチョコレート・ビジネスが、今や活気ある社会企業に成長しました。
従業員は12人。
その大半の人が自閉症です。
それだけでなく、自閉症の若者数百人に無料の職業体験を提供しています。

この「ハリー・スペクターズ」の創業者、シャズとモナ・シャーが、チョコレートがどのように彼らの人生を変えたか、自閉症の従業員たちにこの小さな家族経営のビジネスがもたらす影響について語ります。

3歳で自閉症と診断された息子アッシュのために、サポートや適切な教育を見つけるのに夫婦は苦労していました。

「2001年当時、自閉症についての理解は進んでいませんでした。
アッシュは6歳になるまで言葉を話すことができませんでした」

そう、母親のモナは言います。

「ほとんどの学校から拒絶され、とてもとても大変でした。
頭がおかしいと言って、息子のアッシュから子どもを引き離す親を見たときになんとかしなければならないと考えました。
息子はただ友だちを作りたかっただけでした。
なのに、頭がおかしいと。
しかし、それがどういうことかも息子には理解できませんでした」

エンジニアである父親のシャズは、英国の高度熟練移住プログラムを通じて、2006年に妻、息子のアッシュ、アッシュの妹のミナと共に英国に移住することができました。

「アッシュのために次のステップを考え始めました」

そう、モナは言います。
偶然、ショコラティエに出会い、その魅力に取り付かれ、チョコレート作りの講習を受けました。

「チョコレート作りは、ルーチンで構造的、そして感覚的なものだと思いました」

モナは自宅でチョコレートを作り始め、アッシュと特別支援学校の友人たちも喜んで参加しました。

資金を得た夫妻は、企業からの注文を受け、社会的企業である「ハリー・スペクターズ」を設立しました。
社会的企業とは、利益よりも社会的な良い変化を第一の動機とするビジネスです。

夫婦と包装担当者以外、働いているのは全員、自閉症の人です。
英国では、100人に1人が自閉症スペクトラムです。
自閉症の大人と子どもは約70万人いると英自閉症協会は発表しています。

そして、85パーセントの人が失業状態にあります。
そのなかの61パーセントの人には働く意欲があります。

「自閉症の人は多くのサポートを必要とするのではないかという誤解があります。
しかし、それは誰でも新しい仕事を始めるときにはサポートが必要なのです。

多くの企業は、自閉症の人たちがどれほど勤勉で、忠実であるかを知らないのです。
彼らは決して責任から逃げません。
常に『次は何をすればいいのか』と問いかけてきます」

英自閉症協会の雇用者エンゲージメントマネージャー、リッチマル・メイバンクもこう言います。

「自閉症の人の多くは、自分の才能や興味を反映した仕事を見つければ、とても熱心で、雇用者に提供できることがとても多いのです。
そのために、たとえば、自閉症に対する基本的な理解を持ち、自閉症の従業員と一緒に何が彼らにとってベストなのかを考えるのです」

夫妻は、チョコレート作りの「ルーチンと構造」がチームにとっていかに重要であるかがすぐにわかりました。

多くの社員が職場体験から始めて正社員になり、自信をつけて他の職場に移っています。
ある自閉症の従業員は、うつ病を患っており、出社したときはほとんどしゃべりませんでした。
しかし、退社するころには、人と話したいからと、部屋の中をダッシュして電話に出るようになりました。
その女性は今、データアナリストとして成功しています。

「私たちは、この場所はインキュベーターだと考えています」

ショコラティエの25歳のグレッグ・スミスは、ここハリー・スペクターズで約5年働いています。
最初は職場体験で、その後、正社員になりました。

「初めて給料をもらった仕事です」

包装の仕事から始めて、今では一人前のショコラティエになりました。

「彼らが連れて行ってくれた旅は信じられないほど、私の人生を変えてくれました」

ハリー・スペクターズは最近、あるスーパーマーケットチェーンに板チョコレートを提供する契約を獲得し、テレビ番組にもとりあげられました。

「契約が取れたときは、みんな大喜びでした。
彼らがいなければ、今の私はありません」

スミスは、この会社が自分の能力を最大限に引き出してくれたと言います。

「障害を超能力として使っているような感じ」

スミスは、同じショコラティエの20歳のブルース・ホールと一緒に働いています。
ブルースは、6年前に職場体験でここに来ました。

ブルースは、会社の書類がきちんと整理されているかどうかをチェックするのを仕事の一つとしているので「ファイル・マン」と呼ばれています。

ここで働くことは素晴らしいことだといいます。
そして、あまったチョコレートを食べられるのがすごい特典だとも。

32歳のゾーイ・クレンショウは、自閉症であることが誇らしいといいます。
ここで働き始めて1年半になります。
自閉症と診断されたのはつい最近のことです。

「アーティストとして自営業をしていたのですが、もっと安定した仕事が必要だと感じていました。
でも、職場の人たちは私に合うような小さな調整さえしてくれないとわかっていたので、雇用されることにとても不安を感じていました。
でも、ここではまったく違います。
今はとても充実しています。

不安でたまらなかったのに、今は展示会に行って、人と話すことができます。
不安がなくなったわけではありませんが、ここでは何とかしようと言ってくれます。
本当に素晴らしいチームです」

24歳のジョセフ・キャラスさんは、2019年5月に職場体験で初めて同社に来ました。
あらゆる仕事をこなしています。
その中には、チョコレートを型から取り出し、すべてが完璧であることを確認することもあります。
ジョセフはその技術によって「型はずし責任者」という肩書きを得ました。
ここの雰囲気はとても協力的だと言います。

「彼らがチョコレートを作り、私がそれを型から外します。
この時期はとても忙しいので、今はフルタイムで働いています。
ずっとここにいたいです。
他の仕事では幸せになれないと思います」

(出典・画像:英BBC

本当に素晴らしいです。

ご夫婦を心から尊敬します。

自閉症、発達障害の人たちによる洗車サービス事業がさらに拡大

(チャーリー)


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