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自閉症についての4つの真実。専門の小児科医が伝えたいこと

time 2023/04/12

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自閉症についての4つの真実。専門の小児科医が伝えたいこと

小児神経科医で、米チルドレンズ・ホスピタル・オブ・オレンジカウンティ(CHOC)のトンプソン自閉症・神経発達センター臨床ディレクターのJ・トーマス・メジェリアン博士は、1990年代に診療を始めた当時は、自閉症スペクトラム障害(ASD)について大きな誤解があったと振り返ります。
しかし現在では、自閉症の子どもを知らない人はいません。

米国疾病予防管理センターによれば、2020年には8歳児の36人に1人がASDであることが確認されるなど、子どものASDが増えるなか、これまでの「偏見」にも変化が起きてきました。

メジェリアン博士が自閉症に関する4つの真実について説明します。

 

真実1:ASDの子どもは一人ひとり違う。一人ひとりを尊重する必要がある

自閉症の子どもに1人会えば、もう全員に会えたと思う人が時々いるとメジェリアン博士は言います。
しかし、そうではありません。

ASDの子どもたちはそれぞれ違っていて、だからこそ自閉症スペクトラム障害と呼ばれているのです。

「自閉症スペクトラムがいかに広いかを知ってほしい」とメジェリアン博士は言います。

家族によって、自閉症に関する体験は異なるかもしれません。

高機能の自閉症の子を持つ家族の中には支援が必要だと思わない人もいれば、ASDによる困難な行動に本当に悩んでいる家族もいます。

「人々が ASD について心を開いてくれることを願っています。
自閉症の人に会ったことがあるなら、それぞれ異なる自閉症の人のうちの一人に会ったということです。
そして、自閉症の人一人ひとりに対して向き合う唯一の方法は、一人ひとりに敬意をもつことです」

真実2:自閉症に単一の原因はない

「自閉症の原因は何か」

という質問に対して、メジェリアン博士はその質問が間違っていると言います。
それは、

「ガンの原因は何か」

と聞くようなものだ、といいます。

医療関係者であれば、その質問にこう答えます。

「では、何の癌のことですか?肺がんですか?肝臓がん?膵臓がん?」

これらのがんはすべて全く異なる病気です。
無秩序な細胞増殖という共通の現象はありますが、共通点はそれだけです。

自閉症も同じです。

自閉症には、社会性やコミュニケーションの障害、反復的で制限的な行動など、中核となる症状があります。
しかし、それらの症状がどのように現れるかは、子どもたち一人ひとり異なり、その軌跡も、予後も、そして原因も異なるのです。

「自閉症の原因に関与している遺伝子は100以上あり、それ以上である可能性もあります。
つまり、自閉症は1つではなく、少なくとも100種類あるのです」

真実3:ほとんどの自閉症の子どもは、さらに別の診断も受けている

自閉症の子供が診断される併発疾患の数は、他のほとんどの障害をはるかに凌駕しているとメジェリアン博士は言います。

発達障害や自閉症の子どもたちは、平均して5つの他の診断を受けています。

睡眠障害、胃腸障害、不安障害、ADHD、うつ病、気分変調症などの精神神経症状があります。
また、知的障害、発作性障害、運動協調性障害の頻度も高くなります。

「CHOCでは、幸いなことに、学際的なアプローチで患者さんを診ることができます。
消化器、てんかん、睡眠の専門医を招き、心理学や精神科も併設しているので、通常は1回の診察で、さまざまな併存症状をケアできます。
そして、専門医が連携して、複数の問題を解決するための最適な薬物療法や治療計画は何かを検討します。

それぞれが自分の専門領域だけで仕事をするのではなく、ある薬や治療法が、それらの障害のうち2つか3つを助けるのに十分であることに気づくことがたくさんあります」

将来的には、トンプソン自閉症・神経発達症センターが拡大し、ASDを持つ子どにとって、他の困難に対するケアサービスも提供できるようになることをメジェリアン博士は望んでいます。

その一例が、トンプソン自閉症・神経発達症センターとチャップマン大学のトンプソン政策研究所が提携しているFAST(Families, Agencies and Schools Together)プログラムです。

親が子どものために複雑な教育システムをナビゲートし、子どもが最善の教育サービスを受けられるよう支援します。

「理髪店のサービスも提供できるようにしたいです。
感覚的な問題を抱える子どもたちの体験を和らげるために、歯科医の準備もしています。
私たちは、その架け橋になりたいのです」

真実4:ASDの子どもたちは立派な人生を実現できる

「幼いASDの子どもにとって、どの程度の成長が可能なのかを判断するのは難しいかもしれません。

しかし、私たちの願いは、彼らが成長し、より多くのコミュニケーションスキルやライフスキルが身につくことを願っています」

そう、メジェリアン博士は言います。

この分野のある人が、自閉症の子どもたちが実現したい生活として「うらやましい生活」という言葉を作りました。
当センターのチームもこの言葉を「admirable life(立派な人生)」に修正したと言います。

「私たちは、自閉症の人たちに立派な人生を送ってもらいたいと考えています。

自閉症の子どもたちにとって、そのような生活を実現するのは長期的な目標かもしれません。

しかし、私たちのチームは、自閉症の人たちが最小限の援助だけで完全に自分の面倒を見るスキルを身につけることを望んでいるのです。

立派な人生は、人によって異なるかもしれません。

ある人はグループホームやコミュニティでワクワクしながら生活し、ある人は家族と暮らし、ある人は一人で生活できるかもしれません。

さまざまな能力を持った人々に本当に注目してもらいたいと思います。

他の人々ほど多くの点で幸運ではないかもしれませんが、彼らを際立たせ、生きることを可能にするユニークな能力も持っています。

立派な人生を実現できるのです」

 

(出典:米チルドレンズ・ホスピタル・オブ・オレンジカウンティ)(画像:Pixabay

うちの子も立派に毎日を過ごしています。

たくさんの笑顔が見せてくれるので、私はそう思っています。

これまでにわかっている「自閉症の原因ではない」3つのこと

(チャーリー)


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