ジョーイがGoogleに電話にかけて３日目でした。
電話の自動応答システムは、彼の要求に戸惑っていました。
「Googleを２０２０年５月のように戻せますか？
僕が冒険映画を調べたときのように」
ジョーイは１５歳の自閉症とADHDを持つ少年です。
早い時期からの発作による入院や両親と離れた経験も彼の生活を複雑にしました。
新型コロナの感染拡大の初期の数ヶ月の間に、ジョーイは新しい趣味、１９４０年代と５０年代の冒険映画に出会いました。
ジョーイと母親は、そのクラシックな映画のリストを２年間かけて見ることにしました。
彼の母親は女性差別的なプロットに悲しんでいましたが、ジョーイは海賊の宝物と壮大な戦闘に魅了されていました。
Googleの冒険映画の検索結果は徐々に減少し、ジョーイは愛する映画がインターネットから消えていくのではないかと落胆しました。
ジョーイは、検索エンジンのリストに掲載されるのはどんどん少なくなっていくと考え、ますます不安になっていました。
ジョーイにとって、冒険映画ジャンルに初めて出会った日々には何か魔法のようなものがありました。
映画はジョーイの脳に不可欠な印象を残し、元のGoogle検索結果の状態に戻してほしいという願望は聖杯の探求のようでした。
eBayや無数の古着屋を探し回った末、ジョーイは最も不明瞭な映画、１９５０年代の「ザ・アベンジャーズ」という映画を見つけました。
これは最も見つけにくく、したがって最も貴重な映画だと信じており、ジョーイはそれを１日に正確に３回見れば、愛する冒険映画が前のように、Googleの検索結果になると考えました。
過剰執着は、思考または行動の継続的で自発的な繰り返しのことです。
自閉症の過剰執着は、不安、思考の硬直、衝動の調整の困難、興味を持っていることに集中することから生じる可能性があります。
自閉症の診断の一部となるのは、「制約のある、反復的な行動」です。
これらは固定的で一定です。
最近、私はオンラインで「ポーリング」という用語に出会いました。
これは、多くの自閉症の人々が繰り返し質問をすることを指します。
この行動の説明の一つは、彼らが気分のチェックを行っており、安心感を得ると何度も何度も繰り返し行うことで、安心感を感じることができるということです。
ジョーイが執着的な考えをもつことはめずらしくはありませんでした。
思春期への特に感情的な移行時には、ピーター・パンが自分をネバーランドに連れて行ってくれるというアイデアに魅了されていました。
永遠の若さとアウトサイダー感覚の中で、彼は思春期の抵抗に立ち向かうことになりました。
OCD（強迫症）は、自閉症の子どもの１７〜３７パーセントで発生します（Martin et al., 2020）。
自閉症とOCDはよく共存しますが、OCDの症状と自閉症で見られる反復的な行動とでは違いがあります。
OCDの強迫観念は侵入的で苦痛であり、強迫行動は強迫観念から直接的に派生しています。
強迫行動は「取り消し」の形で、強迫観念から生ずる恐ろしい結果を防ごうとする試みです。
この視点から見ると、ジョーイの「ザ・アベンジャーズ」を見る強迫行動は、よりOCDに関連しているように思えました。
一方、自閉症の人の儀式的な行動は、目的を持たないように見えます。
反復的な行動はしばしば楽しいか自己鎮静的であり、自己刺激的にさえなることがあります。
自閉症によるその行動が本人にとって苦痛でない場合、それを治療する理由はありません。
主観的な経験を共有してくれる自閉症の大人のオンラインコミュニティによれば、一部の人にとって、過剰執着は「感情的に精神的に疲れる」ということもあるようで、その思考や行動の内容が愉快であっても、負の要素を含むようです。
精神分析文献の多くのケーススタディは、無意識の衝突を明らかにすることでOCDの症状が軽減することを示しています（Chlebowski et al., 2018）。
フロイト以来の精神分析家は、「強迫性神経症」を深く象徴的と見なしています。
フロイトは、抑圧された性的および攻撃的な衝動が、禁忌の願望と恐怖から自己を守る強迫的な思考と強迫行動の防御を生じる可能性があると提案しました。
強迫症の患者は、愛と憎しみを一体化させ、思考と行動を区別しようと苦労します。
思考と実際の行動を分ける手助けをすることで、OCDの症状はその支配力を弱めることができます。
ある日、私は成人のADHDクライアントの一人と一緒に座っていました。
彼女は夢見ていた結婚式会場に固執しています。
しかし、それはもう実現できないことでした。
彼女は「実現しなかった結婚式」を手放す準備ができていませんでした。
執着の理由を考えました。
おそらく、心の中で何度も何度もイメージや思考を繰り返すことが、何かを失う危険性から守る方法なのかもしれません。
それは損失から、自分を守るための防御の一形態のように思えました。
ジョーイの冒険映画への執着も、置き去りにされたものを埋める試みであるかもしれない役割であったのかもしれません。
新型コロナが彼の知る世界を揺り動かす中で、これらの映画は遠い過去への帰還を提供しました。
元のGoogle検索の希望される復活を通じて、ジョーイは潜在意識に深く埋め込まれた幼少期の別れを埋めようとしていたのかもしれません。
（出典：米Psychology Today）（画像：Pixabay）
米国ではGoogleに電話がかけられるのですね。それに驚きましたが、それはおいて。
「思考または行動の継続的で自発的な繰り返し」
OCD（強迫症）では、恐ろしいことが起きないように防ぐという目的をもったもの。
自閉症では、目的はなく楽しかったりするもの。
そして、自閉症のそれは、本人（や周りの人）にとって苦痛でなければ止める必要はないと。
（チャーリー）
