
この記事が含む Q&A
- ノーム・サーフはどのようにして困難を抱える子どもたちに喜びと癒やしを届けているのですか?
- サーフィンを通じて、社会的・情緒的な健康や自尊心を育む活動を提供しています。
- サーフセラピーの効果は何ですか?
- 子どもたちの幸福度や自己肯定感が大きく向上し、自信や仲間意識を育むことが報告されています。
- どうすればノーム・サーフの活動に参加できますか?
- 公式ウェブサイトや現地のイベント情報を確認のうえ、ボランティアや参加者として登録できます。
米ロードアイランド州に拠点を置くサーフセラピー団体「ノーム・サーフ」は、自閉症や脊髄損傷などさまざまな困難を抱える人々に対して、サーフィンを通じて喜びと癒やしを届けてきました。
これまでに何百人もの人たちが、この活動によって自信を取り戻し、笑顔を見せるようになっています。
ノーム・サーフの使命は、「見えない存在」として孤独を感じてきたすべての子どもや家族に対して、海という最高の扉を開き、社会的・情緒的な健康、幸福、自尊心へと導くことです。
この活動のきっかけは、創設者クリストファー・アンタオが自身の人生でサーフィンに救われた経験にありました。
彼はこう語ります。
「僕は音のない世界で溺れかけていた神経多様性のある子どもだった。
でも海が呼吸することを教えてくれた。
サーフィンが僕の命を救った。
だから今、それを使って他の人の命も救っている。
サーフィンは今でも僕たち自身を救い続けているんだ」
クリスとともに活動を支えるブリガム・バウも、最初はボランティアとして関わり始めましたが、今では組織の共同リーダーとして活躍しています。
彼らとの会話は、サーフィンが持つ「与えることで満たされる」という精神をまさに体現していると感じさせてくれます。
彼らは「アロハ」の精神で生き、それを世界に広めています。
ノーム・サーフの活動は、ビーチでのレジャーではありません。
彼らは「喜びの最前線」に立っているのです。
5月から10月にかけて、毎日個別のセッションが行われ、「違っていても、そこにいていいんだ」ということを全力で伝えています。
また、6月から10月の週末には「ハッピー・キャンプ」と呼ばれる大規模なサーフセラピーイベントが開催され、毎回25〜40家族が集まって、ありのままの自分たちでいられる安全な場所で過ごします。
そこでは、子どもたちの「できないこと」ではなく「できること」が祝福され、称賛されるのです。
それは単なる楽しい一日ではなく、心と体の「革命」です。
家族がともに癒やされ、地域のコミュニティと連携しながら、これまで取り残されてきた子どもたちを支えていきます。
このプログラムの中心は子どもたちですが、家族にも深い癒やしとつながりがもたらされます。
母親や父親、兄弟姉妹にもそれぞれのサポートプログラムがあり、ほかのサーファーたちもボランティアとして参加し、その波を分かち合う「魔法」に触れることができます。
現地を訪れたとき、そこにあったのはまさに「純粋な喜び」でした。
知らない子どもたちを応援している自分に気づきました。
うちの息子は最初とても緊張していましたが、インストラクターたちは時間をかけて、辛抱強く接してくれました。
帰る頃には、心の底からの幸福感に包まれていました。
今年の夏は、ぜひボランティアとしてもっと関わりたいと思います。
ノーム・サーフは、少しでも、あるいはたくさんの喜びを必要としている人に、ぜひおすすめしたい場所です。
自閉症や障がいのある子どもを育てている家庭では、「普通の」体験から置き去りにされていると感じることがあります。
ノーム・サーフは、そうした感覚を覆そうとしています。
海は、そうした「除外の波紋」に抗う象徴的な存在であり、子どもたちが海へと漕ぎ出す姿は、単なるサーフィンのレッスンではなく、ひとつの「革命」なのです。
それは希望や自信、仲間意識を掴み取る体験です。
ひとりの子どもが「できた」と感じる瞬間を積み重ねることで、トラウマに満ちた人生の物語を書き換えていくのです。
海はラベルを見ません。自閉症、ダウン症、脳性まひ、ADHD、うつ、不安障害――それらは塩水の中で消えていき、残るのはただ「純粋な喜び」だけです。
正直なところ、こうした物語こそが「サーフィン」という文化の救済なのではないかと思います。
ハワイからもたらされた贈り物であるこの文化は、植民地主義の影響で一度は失われかけました。
しかし今、私たちは「奪う者」ではなく、「与える者」を称えるべき時代に生きているのです。
ノーム・サーフの活動は「STOKE(スートーク)」というシンプルな信念に基づいています。
Safety(安全)、Trust(信頼)、Optimism(楽観)、Kindness(やさしさ)、Energy(活力)――いつも「良い波」を持って接することが大切なのです。
この考え方のもと、子どもたちの幸福度は98%向上し、自己肯定感も93%向上したと報告されています。
「私たちのサーフボードは、ただの板ではなく“治療道具”です。
波は“薬”です。
私たちはただの非営利団体ではありません。
社会から“居場所がない”と言われた子どもたちにとっての“命綱”なのです。
すべての子どもが海に抱かれる権利を持っています。
例外はありません。
ここでは、サーフィンはスポーツではなく“言語”です。
言葉が届かないとき、心に語りかける手段なのです。
“違い”は排除されるのではなく、祝福されるべきものであり、私たちはその社会を築いていきます」
怪我や病気、トラウマなどで困難を抱える子どもたちや家族を支えるには、「つながり」こそが答えであり、そのための支援を社会にもっと求めていくことが使命です。
クリス、ブリグ、そしてノーム・サーフのすべての仲間たちに、心から感謝を伝えます。
(出典・画像:米SURFER)
安全に楽しむことができる環境であれば、子も親も、みんなにとって悪いわけがありません。
サーフィンいいですね。
(チャーリー)