発達障害のニュースと障害者のハンドメイド

忘れ物がとても多い、でも写真家で輝く。私はADHDだから

time 2025/06/09

この記事を読むのに必要な時間は約 6 分です。

忘れ物がとても多い、でも写真家で輝く。私はADHDだから

この記事が含む Q&A

ADHDが写真撮影に与える影響にはどのようなものがありますか?
パターン認識や新しいアイデアの創出に優れる一方、忘れ物や時間管理が難しいことがあります。
ADHDの方が写真家としての長所を活かすための工夫は何ですか?
予備の機材を持ち歩くなど、環境を整えることが効果的です。
ADHDの診断を検討すべきサインは何でしょうか?
物忘れ、作業の遅れ、やる気の波が日常生活に影響を及ぼしているときです。

気が散りやすいことが、実はあなたの創造的な力を引き出すかもしれません。

ADHD(注意欠如・多動症)は、写真を撮るうえでの「ひみつ道具」のような存在になることもあるのです。

ADHDは、最も多く研究されている精神的な特徴のひとつです。
初めて記録されたのは、イギリスでペニーブラックという切手が郵便制度に革命をもたらした頃のことです。
ちなみに、このようなちょっとした雑学をたくさん覚えているのも、ADHDの特徴のひとつです。

一方で、作業中に必要な情報を一時的に保持する「ワーキングメモリ」はとても弱い傾向があります。

撮影に出かけるたびに忘れ物をして、三度も家に取りに戻ることもあります。
それでも何かしらを忘れることがよくあります。
こうした事態を減らすために、私はバッグやスタジオに予備の機材を常に置くようにしています。

ADHDには「ハイパーフォーカス」と呼ばれる集中状態があります。

興味をもった物事には短期間で驚くほどの習熟を見せますが、あるとき突然、関心がゼロになることもあります。
その証拠として、高額な機材が手元に残ることがあります。
その後は、もう二度と触れないかもしれません。

こうした現象を「ADHD税」と呼ぶ人もいます。
使わないままのモノを買ったり、支払いを忘れて延滞料金を払ったり、なくしたものを何度も買い直したりすることがあるのです。

ADHDの人は、パターン認識がとても優れていて、他の人が思いつかないような創造的でユニークなアイデアを生み出すことができます。
これは、脳が常に退屈を避けようとして、新しいつながりを次々と作っているからです。
そう、ADHDにとって「退屈」は最大の敵なのです。

もし私たちが何かに興味を持てないとき、どれだけお金になろうと、どれだけ魅力的な相手が関わっていようと、美味しそうな料理が目の前にあっても、それに取り組むことができません。
どれほどやりたいと思っても、脳がまったく動かないのです。

ADHDの根本にはドーパミンという脳内物質の不足があります。
これが感情のコントロールの難しさ、つまり「感情調整の困難」として現れます。
作業にどれくらい時間がかかるのかがわからなかったり、何を優先すればいいのかが判断できなかったりします。
やるべきことをリストにしても(というより、それがないとすぐに忘れてしまいます)、量が多いと圧倒されて、結局なにもできなくなってしまうのです。

そして、動けないどころか、イライラが爆発して人に当たってしまうこともあります。
これは、「ちょっとしたこと」に耐えられない低いフラストレーション耐性のためです。

では、これが写真家にとってどう影響するのでしょうか。

もしあなたがハイパーフォーカスの段階を乗り越え、それでもなお撮影や編集が好きでいられるなら、それは本物の「生涯の関心」かもしれません。

ADHDによる優れたパターン認識力は、構図のセンスにも現れます。
また、初対面の写真家とすぐに打ち解けることもでき、新しい刺激からインスピレーションを得て、多彩なスタイルで撮影することができます。

ただし、難点もあります。バックアップが雑だったり、編集に時間がかかりすぎたり、興味が薄れると何週間もカメラに触らないこともあるでしょう。

そのようなときには、助けになる方法があります。
薬による治療は、必要なときに集中する力を高めてくれますし、薬の効果が切れたあとも、自然な「脳内のカオス」が新しい発想を生んでくれるのです。

また、「認知行動療法(CBT)」と呼ばれる心理療法も効果的です。
これは、タスクを細かく分けて取り組んだり、「洗濯は一度きりで終わる作業ではなく、循環する生活の一部なのだ」といった考え方を理解する助けにもなります。

X世代(1960〜70年代後半生まれ)は、特にADHDが見過ごされやすい世代といわれています。
そして今後、その傾向はさらに強くなると考えられています。
ADHDは遺伝的な要素があり、今では「親が子どもからADHDをもらう」と冗談を言うほどです。
子どもが先に診断されて、それを見た親が「もしかして自分も…」と気づいて診断を受けるという流れです。

もし自分もそうかもしれないと思ったら、ぜひ検査を受けてみてください。
誰だってカギを忘れたり、物をなくしたり、やるべきことが終わらなかったり、起きるのがつらい日もあります。
でも、それが日常的に生活を妨げているとしたら、それは「ただのうっかり」や「軽いうつ」ではなく、ADHDかもしれません。

思い立ったらすぐ行動しましょう。
先延ばしにしてしまうのも、まさにADHDの特徴のひとつなのですから。

ショーン・マコーマック
アイルランドの商業写真家

(出典:Digital Camera World)(画像:たーとるうぃず)

強みもある。

それをぜひ、うまく活かしてください。

自閉症の子のその子らしさに注目する「強み」チェックリスト

(チャーリー)


たーとるうぃず発達障害ニュースを支援する。

たーとるうぃずを「いいね!」をする。フォローする。

その他の最新の記事はこちらから

人気の記事

福祉作業所で障害のある方々がひとつひとつ、心をこめて作り上げた良質なハンドメイド・手作りの品物をご紹介します。発達障害の関連ニュースや発達障害の子どもの4コマ漫画も。
気に入ったものはそのままamazonで簡単にご購入頂けます。

商品を作られた障害のある方がたーとるうぃずやAmazonに商品が掲載されたことで喜ばれている、売れたことを聞いて涙を流されていたと施設の方からご連絡を頂きました。

ご購入された方からは本当に気に入っているとご連絡を頂きました。ニュースや4コマ漫画を見て元気が出たとご連絡を頂きました。たーとるうぃずがますます多くの方に喜ばれるしくみになることを願っています。


NPO法人Next-Creation様からコメント

「たーとるうぃず様で販売して頂いてからは全国各地より注文が入るようになりました。障がい者手帳カバーは販売累計1000個を超える人気商品となりました。製品が売れることでご利用者の工賃 UP にもつながっています。ご利用者のみんなもとても喜んでおります」

テキストのコピーはできません。