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自閉症の子は「悪い輩」と距離を置く。スリルは求めない

time 2026/02/16

この記事を読むのに必要な時間は約 6 分です。

自閉症の子は「悪い輩」と距離を置く。スリルは求めない

この記事が含む Q&A

自閉症のある子どもは思春期に非行仲間と関わる機会が少なくなる傾向があるのですか?
はい、研究で自閉症のある子どもは非行仲間との関わりが有意に少ないことが示されました。
非行仲間との関わりの減少は何によって説明されると考えられていますか?
刺激追求傾向の低さが主要な媒介要因とされ、衝動統制は有意な媒介要因にはなりません。
本研究にはどのような限界や注意点がありますか?
思春期前半のデータで成人期以降の変化や個々の特性差には留意が必要で、すべてのリスクが低いわけではありません。

自閉症のある子どもは、いわゆる「非行仲間」とどのような関係を持つのでしょうか。

思春期の問題行動は、「どんな友だちと関わるか」に強く影響されることが知られています。
万引きや暴力、薬物使用など、法律や校則に反する行動は、同じような行動をする仲間との関わりの中で強化されやすいと考えられています。
では、自閉症のある子どもはどうなのでしょうか。
対人関係に困難を抱えやすいという特性は、非行仲間との関わりを減らす方向に働くのでしょうか。
それとも、孤立しやすいがゆえに、同じく周囲から外れた仲間と結びつきやすくなるのでしょうか。

この問いに取り組んだのが、ミシガン州立大学刑事司法学部の研究者による今回の研究です。
分析には、アメリカで進行中の大規模縦断研究「ABCD研究(Adolescent Brain Cognitive Development Study)」のデータが用いられました。
ABCD研究は、全米の子ども約1万1千人を長期的に追跡している国家規模のプロジェクトです。

研究では、8〜10歳時点での自閉症診断の有無を確認し、その後の思春期における心理特性と仲間関係を追跡しました。
とくに注目されたのは、「刺激追求傾向」と「衝動統制」という二つの心理特性です。

刺激追求とは、新しい体験やスリルを求める傾向のことです。
衝動統制とは、行動を起こす前に立ち止まり、結果を考える力を指します。
思春期はこの二つの発達がアンバランスになりやすい時期とされています。
スリルを求める気持ちは強まりやすい一方で、ブレーキの役割を果たす衝動統制はまだ十分に成熟していないと考えられています。
このアンバランスさが、思春期にリスク行動が増えやすい理由の一つだと説明されています。

研究ではまず、自閉症のある子どもとない子どもで、非行行動をする仲間との関わりに違いがあるかを調べました。
その結果、自閉症のある子どもは、ない子どもと比べて、非行仲間との関わりが有意に少ないことが示されました。
非行仲間との関わりは、将来の問題行動リスクを高める強い要因です。
そのため、この結果は重要です。
少なくとも思春期においては、自閉症は非行仲間との関係に関して、保護的に働いている可能性が示唆されました。

次に研究者たちは、その理由を探りました。
刺激追求と衝動統制が、自閉症と非行仲間との関わりをつなぐ「媒介要因」になっているかを分析しました。
その結果、鍵を握っていたのは刺激追求でした。
自閉症のある子どもは、平均して刺激追求傾向が低く、その低さが非行仲間との関わりの少なさを部分的に説明していました。
つまり、自閉症であることが刺激追求の低さと関連し、その低さが結果として非行仲間との関わりを減らしている可能性があるということです。
一方で、衝動統制は有意な媒介要因にはなりませんでした。

なぜ刺激追求が低いのでしょうか。
論文では、自閉症にみられる感覚特性との関連が示唆されています。
強い刺激に圧倒されやすい場合、刺激的な状況を積極的に求める傾向は自然と低くなる可能性があります。
非行仲間の活動は、多くの場合、スリルや興奮、リスクを伴います。
それを魅力的に感じにくいのであれば、そこに近づこうとする動機も弱くなると考えられます。

ただし、この結果を単純に「安心材料」と捉えることはできません。
思春期は仲間の影響が強い時期ですが、成人期になると影響の構造は変わります。
また、自閉症のある若者は、社会的手がかりの読み取りの難しさや対人関係での誤解など、別の脆弱性を抱える可能性があります。
非行仲間との関わりが少ないことが、すべてのリスクの低さを意味するわけではありません。

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さらに、本研究は思春期前半のデータを扱っています。
成人期以降も同様の傾向が続くのかどうかはわかっていません。
自閉症は多様な特性を含むスペクトラムであり、感覚特性が強い人もいれば、衝動性が目立つ人もいます。
本研究は診断の有無という形で分析していますが、個々の特性の違いまでは十分に捉えられていません。

それでも本研究は重要な視点を提示しています。
自閉症の特性は、常にリスクとして働くわけではありません。
思春期という特定の発達段階においては、刺激を求めにくいという特性が、非行仲間との関わりを減らす方向に働いている可能性があります。
特性の意味は、発達段階や環境との相互作用の中で変わるのです。

自閉症のある子どもがどのような仲間関係を築くのか。
その背後にどのような心理的特性が関わっているのか。
本研究はその一端を明らかにしました。しかし問いはまだ残されています。
成人期にはどうなるのか。どの特性がどのように行動に影響するのか。
発達の流れの中で、特性の意味はどのように変化するのか。

自閉症の理解は、「弱さ」や「強さ」という単純な枠組みでは捉えきれません。
状況や時期によって、同じ特性が保護因子にもリスク因子にもなりうるのです。
今回の研究は、その複雑さを示しています。

(出典:Journal of Autism and Developmental Disorders DOI: 10.1007/s10803-026-07262-y

ずっとたいへんな中、過ごしてきているのですから、そんな輩とつるむ余裕はありません。

むしろ、そうした輩からやってくるので、関わらない、逃げることに苦労をかかえそうです。

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(チャーリー)

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