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うちの家族は3人が自閉症。「自分を知ることで力が湧いた」

time 2021/10/20

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うちの家族は3人が自閉症。「自分を知ることで力が湧いた」

10年前、3歳の息子が自閉症と診断されたとき、私はショックを受けました。
私たちは問題があることはわかっていました。

バターのかかったトーストを食べ間違えただけで30分も泣き続けることがありました。
息子は「きかんしゃトーマス」に夢中で、クマのぬいぐるみの代わりにマーガリンの蓋を愛し、おもちゃを軍の隊列のように並べていました。

そして1年前には、現在25歳の息子が自閉症と診断され同じようにショックを受けました。

息子には独特の癖がありましたが、それは誰にでもあることです。
息子は苦労していたのでしょうか?
私にはわかりません。
確かに息子は静かで、ちょっと変わっていて、スパイダーマンの話をよくしていました。
しかし、もし何か問題があったとしても、私はそれに気づきませんでした。

私は本当に認識不足でした。
結婚し、子どもを持ち、4冊の本を書き、博士号を取得し、尊敬される心理学者になった妻も、3週間前に自閉症と診断されました。
私は再びショックを受けました。

私の家には3人も自閉症の人がいる!

自閉症は伝染病ではありません。風邪ではありません。
自閉症は発達障害であり、環境や遺伝子との関連があり、社会的コミュニケーションの困難さ、柔軟性、感覚の問題を特徴とします。
そして、超集中、超聴覚、超記憶。

しかし人によって違います。
支援が多く必要な人、それほど必要としない人、言葉が話せる人、話せない人。
全く同じ症状の人はいません。

これは、インターネットの安っぽい自己診断ではありません。
3人とも、別々の時期に、べつべつに医療機関で診断されました。

私が13歳だった頃、家族は誰も自閉症などの診断はされていませんでした。
「変わっている」
と言われたり、いじめられそうになっても。

しかし、時代は変わりました。
研究が進みました。
人は多くを学びました。
英ケンブリッジ大学の小児科医のマンジュラタ・ラジュグル博士はこう言っています。

「ここ10年で自閉症スペクトラム障害の認知度が高まり、さらにここ6〜8年では54人に1人の子どもが自閉症と診断されるようになりました」

そうなった理由は複雑ではありません。
知識が増え、リソースが増え、基準が広がり、何世代にもわたって見過ごされてきたという意識が高まってきたからです。

博士号を取得した成績優秀な大人と、食事やトイレ、基本的な生活スキルのサポートを必要とする子どもが、共通する困難をかかえているとは誰も思わないはずです。
自閉症の困難を、隠している人にも気づかないはずです。

自閉症は複雑な障害です。
認識は変化しています。また、自閉症スペクトラムの範囲が広がるにつれ、ひとつのサイズですべての人に対応できるわけではありません。

「一部の親御さんは、お子さんが診断されると、自分自身の問題をより深く理解するようになります」

ラジュグル博士はそう言います。
私の妻のアリシアは、息子が自閉症と診断されてから、以前から抱いていた自分への疑念を解消することができました。

「私が少女や若い女性だった頃、自閉症はまったく認識されていませんでした。
自閉症は、重度の知的障害を持つ重度の障害児のためのもので、男の子のものだったのです。
今、40代、50代の人たちが自閉症と診断されることに驚きはありません。
当時、人々が知っていたのは『レインマン』だけだったのですから」

勉学に励み、社会的なエチケットをしっかりと身につけた妻は、本当の自分を隠すために、周囲に溶け込むための 「マスキング」の技術を身につけていきました。

「普通に振る舞うことがとても重要でした。
しかしとくに思春期になると、それはとても疲れました。
自分の言葉ではない別人の言葉を話さなければならないことを想像してみてください」

妻のアリシアは、自分の中で感じていた機能不全を覆うことができず、現実はその中間にありました。

「仕事を続けることができませんでした。
私は3回も強制入院させられ、10年間も向精神薬を飲み続けていました。
感情や感覚が過敏になって、パニックを起こしたこともあります。
予期せぬ変化に動揺してしまう。家族以外の対人関係に非常に圧倒され、疲弊してしまう」

私はジャーナリストとして、また夫として、妻は本当に自閉症であることを公にしたいのか尋ねました。
妻はいつものように毅然とした態度で答えてくれました。

「私は、自分が信じられないほど高機能で、何の障害もない人間だとは思われたくありません。
自閉症と診断されることは、風変わりで知的であることが理由ではありません。
自閉症は障害であり、単なる違いではないからです」

私の25歳の息子のダニエルも、同じように、何かが合わないという感覚に苛まれ、世界から分離していると感じています。

「あまり話したことはありませんが、僕は中学生の頃から精神的な問題を抱えていました。
自閉症ではないかと診断されるような何かがあるのではないかと思っていましたが、それが自分の中で最優先されることがなかっただけです。

2020年に、僕は精神面で本当に悩んでいた時期がありました。
自閉症は、弟がそうだったので、自分にはめずらしいものではありませんでした。

しかし、自分がそう診断されたときは、信じられませんでした。
それでも、自分について明確に理解できるようになりました」

弟のマックスは、かつて我が家でただ一人、自閉症と診断されていた弟のマックスが思うことは兄や母とは異なります。
幼児の頃に自閉症と診断されているので、ほとんど気になりません。
マックスに自閉症のことを尋ねるのは、長い鼻について象に尋ねるようなものです。

「僕は自分が自閉症であることを知って育ちました。
それを良いとも悪いとも言いません。
けれど、自分にとっては良いことだと思っています」

人と違うということは、見方の問題だとマックスは言います。

「私たちは皆、ある意味では異なっています。
人と違うということを、他の人と自分を隔てる悪いことだと考える人もいます。
僕はそのようには考えていません。
物事にどう対処するかが異なるだけです」

13歳にして、自分の「超集中力」を好きなことに注ぐことを学んだマックスの話は印象的です。
マックスは漫画を描くことで、広大なグラフィックノベルの中に精巧な架空の世界を構築しています。
畏敬の念さえ抱かせます。

しかし、マックスの不安定な幼少期を手助けし、学校でのサポートを提唱し、神経多様性のメッセージを伝えてきた親としては、マックスが自閉症スペクトラムのどこに位置するかにかかわらず、障害として分類されるのには理由があることがわかります。

自閉症により、かかえる困難は現実にあります。

サポートは非常に重要です。そして、それは何歳になっても。
妻のアリシアは、自閉症と診断されたことで、自分の人生に焦点が当てられるようになったことに安堵しています。

「それは自己受容につながります。
自分が常に誰かでなければならないというプレッシャーを自分にかけるのをやめることができます。
それがすべてを変えてくれました。

変わり者でもいいんです。
たまにマスキングをしてもいいんです。
ありのままの自分でいていいんです。

一番大切なのは、自分を知ることです。知ることで力が湧いてきます」

認められることなく、暗闇の中で、自分の外側に色を塗ることに人生を費やしてきた人々にとって、それは突然、電球がオンになったようなものです。
ダニエルもこう言います。

「僕には、まったく意味のないことがたくさんありました。
自分が何者なのか、自閉症とは何なのかを知ることで、社会や日常生活に備えられるようになりました」

息子のダニエルと妻のアリシアにとって、自閉症は汚名ではありません。

「多様性は重要です。
母と私が人生の後半に診断されたことは、スペクトラムの幅がいかに広いかを示していると思います」

マックスは寝室で画用紙と鉛筆を持っています。
やる気に満ち溢れ、自分に満足しています。
自分が何者であるかを正確に知った上で成長した最初の自閉症世代の一員の姿です。

(出典:カナダTORONTO STAR)(画像:Pixabay

自閉症、そして「発達障害」が広く知られるようになって、

あまり知られていなかった昔に比べたら、うちの子だけでなく親の私、家族もずっと過ごしやすくなったはずだと思います。

自閉症の人たちの遺伝子が人類に貢献。神経多様性を受け入れよう

(チャーリー)


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