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自閉症の女の子の増加が続く。「ずっと存在していたのです」

time 2023/04/17

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自閉症の女の子の増加が続く。「ずっと存在していたのです」

モレニケ・ギワ・オナイウは、娘のレガシーの気になる行動を指摘され、ショックを受けました。
自分の名前に反応しないのです。
目を合わせず、あまり話さず、一人で遊ぶのが好きな子でした。

しかし、コンサルタントや作家として活躍するオナイウ博士にとっては、どれも異常とは思えませんでした。

「私は、何かが間違っていることに気づきませんでした。
娘は私と同じだったので」

レガシーは3歳になる直前に自閉症と診断されました。
そして、その数ヶ月後、31歳のときにオナイウ博士も自閉症と診断されました。

自閉症は、社会性やコミュニケーションの障害、反復行動などを特徴とする発達障害です。
長い間、男の子に多いとされてきました。
しかし、この10年間で、より多くの医師、教師、親がこの症状の初期症状に注意を払うようになったため、診断される女の子の割合が増加しました。

2012年、米国疾病管理予防センターは、自閉症の診断を受ける確率は男の子が女の子の4.7倍であると推定しました。
2018年には、それは4.2倍にまで下がりました。
そして先月、発表したデータでは、3.8倍になりました。

全米の8歳児22万6000人以上の健康・教育記録に基づくその新しい分析では、女の子の自閉症率は1パーセントを超え、過去最高を記録しました。

オナイウ博士のような成人女性も診断されるようになって、これまでにどれだけの女の子が見逃されたり、誤診され続けているのかという疑問が出てきます。
米カリフォルニア大学ロサンゼルス校の心理学者で自閉症研究者のキャサリン・ロードはこう言います。

「私たちは、自閉症が女の子にも起こりうることをより認識し、その違いをより認識するようになっただけだと思います」

精神科医が使用する主要な分類システムである「精神障害の診断と統計マニュアル」(D.S.M.)で自閉症が正式に認められたのは1980年になってからです。
しかし、その診断は、生後30ヵ月までに発見された、他人に対する興味の欠如、言語障害、特定のこだわりなど、狭い範囲でのものでした。

やがて、自閉症はさまざまな行動をとるものだという認識が広まり、D.S.M.の診断基準はより広範になりました。
友人関係を築いたり、他人の真似をしたりすることが難しい、言語的または非言語的なコミュニケーションの遅れがある、特定の話題に夢中になるなど興味が制限されたり反復されたりする、などです。

それでも、多くの医師は、自閉症が身体的な症状があまり目立たない女の子に異なる形で現れる可能性があることを知りませんでした。

その後の研究で、自閉症の女の子は男の子に比べて、時に周囲の女の子の行動を真似ることで、自分の社会的困難をカモフラージュする傾向があることが明らかになっています。
さらに、女の子は大人から、笑顔でいるように言われたり、集団遊びにもっと参加するように促されたりと、男の子とは違った扱いを受けることが多いようです。
医師が自閉症かどうかを判定するために使用したおもちゃも、男の子向けのものだと批判されるようになりました。

「自閉症の女の子はずっと存在していたのです」

そう、ロード博士は言います。

2013年に出版されたD.S.M.の最新版では、自閉症を示すかもしれない行動のさらに幅広いスペクトルを認め、女の子の自閉症が「社会性やコミュニケーションの困難の症状が微妙」であるために認識されないことがあると明記されています。

米バージニア大学脳研究所の神経科学者で自閉症研究者のケビン・ペルフリーは、15年以上前、自分の娘が自閉症の兆候を見せ始めたとき、彼でさえもそれに気づかなかったと言います。

「医師も、『自閉症ではないだろう、女の子なんだから』と言っていました」

社会的行動に関わる脳のシステムは、女の子の方が早く発達するため、特に幼児期には、自閉症の女の子の自閉症の「保護因子」になる可能性があるという。

しかし、成長し、女の子同士の社会的関係がより複雑になると、自閉症の女の子はより目立ち始め、しばしばいじめられるようになるとペルフリー博士は言います。

「それは、男の子と女の子のもう一つの大きな違いにつながります。
女の子は不安やうつ病を発症しやすいのです」

それらの精神的な問題が、根本的な自閉症を不明瞭にし、誤診につながることもあります。

米アデルフィ大学でソーシャルワークの大学院生である61歳のデナ・ガスナーは、若い頃から社会的・感情的な問題を抱えていたものの、医師は自閉症の可能性を診断の対象として言及することはありませんでした。
この障害を持つ多くの女の子と同様、ガスナーさんも性的虐待を受け、彼女の感情的な問題は後に虐待が原因であるとされました。
また、双極性障害と誤って診断されたこともありました。

自閉症と診断されたのは、息子が診断されてから6年後、40歳の時でした。
言葉の遅れや特定の活動や映画にこだわるなど、息子が抱えていた問題が自分とはあまりにも違っていたこともあり、当初は自分が自閉症と診断されておどろきました。

「息子の姿に自分が映るなんて、ありえないことでした」

ガスナーとオナイウ博士は、米国連邦政府の科学者、学者、親、自閉症の人からなる「省庁間自閉症調整委員会」のメンバーです。
保健福祉省に研究や政策について助言しています。

成人してから診断された他の多くの女性に会った今、この二人の女性は自閉症の男性と女性の比率の実際の違いは、データが示すものよりも小さいのではないかと思うと述べています。
ガスナーはこう言います。

「自閉症の女の子が何人いるかということをこれまで、評価しているのではないのです。
発見できた、自閉症の女の子の数を評価したものなのです」

2017年に行われた数十の研究のレビューで、イギリスの研究者は、本当の男女比は3対1に近いと推定しています。
自己診断した人を含むいくつかのオンライン調査では、男性と女性の比率はさらに低くなっています。

それでも、自閉症が女の子に少ないのは間違いなく、男の子に多く見られることは、ほとんどの専門家が言うところです。
自閉症は遺伝的な要素が強く、性差の少なくとも一部は生来の生物学的な差異に起因しているのではないかと指摘する研究があります。

たとえば、自閉症の女の子は、男の子よりも大きな遺伝子変異を持つ傾向があります。

プロフリー博士によれば、女の子が自閉症の影響を受けるには、男の子よりも大きな「遺伝的打撃」が必要であり、それは、おそらく保護的な遺伝因子を女の子がもっているためです。

自閉症の人口動態の変化は、性別だけにとどまりません。
自閉症を持つ非白人児童の割合も、過去10年間で急速に増加しています。
C.D.C.の新しい報告書では、黒人とラテン系の8歳児の自閉症率が、初めて白人の子どものそれを上回ったのです。
オナイウ博士はこう言います。

「自閉症は白人の男の子に起こることであり、それらの白人の男の子たちはトレッキーになったり、シリコンバレーのプログラマーになったりするものだと思われていました。
しかし、実際には自閉症は白人の男の子に限ったものではなかったのです」

(出典:米The New York Times)(画像:Pixabay

支援を必要とされる方に適切な支援がなされる。

そのために、正しく評価されることは歓迎するべきことですよね。

自閉症の女の子のほうが男の子より遺伝子変異が多かった。研究

(チャーリー)


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