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自閉症は遺伝するのか?

time 2023/06/20

この記事を読むのに必要な時間は約 7 分です。

自閉症は遺伝するのか?

自閉症は遺伝するのでしょうか?

1964年、アメリカの心理学者バーナード・リムランドは、子どもの自閉症の診断は「無感情な子育て」や「冷蔵庫マザー」など、それまでの親の責任であるという考え方に初めて異議を唱えました。
リムランドは、生物学的な要因が自閉症を引き起こす可能性があると主張しました。

それ以来、多くの研究が、自閉症の家族がいると自閉症が発症することが多いという結論を出しています。

遺伝は、子どもが自閉症になる要因として重要な役割を果たします。

1970年代、英ロンドンの精神医学研究所は、研究対象となった21組の一卵性双生児のうち、3分の1以上が自閉症を共有していることを発見しました。
また、カナダ・トロントのシックキッズ病院の研究者が最近主導した国際研究では、11000人の参加者の遺伝子配列を調査し、自閉症に強く関連する134の遺伝子を発見しました。

しかしこれらは、必ずしも自閉症が遺伝することを意味するものではありません。

オランダ・ブルアビュー・キッズ・リハビリテーション病院の研究担当副社長で小児神経科医、ブルアビュー研究所所長のエヴドキア・アナグノストゥ博士はこう言います。

「我々が見つけた遺伝子変異の約2分の1は、受胎時にランダムに起こるものです」

また、自閉症が遺伝によるものであっても、必ずしも親が自閉症だとも限りません。
生物学的な違いによって、家族間でも異なる神経発達の状態となるからです。
ある家族が自閉症であっても、別の家族はADHDであったり、また別の家族は発達障害的な特徴を示しても何の障害もないかもしれません。

そして現在、「自閉症になる遺伝子」の存在も確認されていません。

では、遺伝子は自閉症の原因なのでしょうか?

遺伝子は重要な役割を果たしますが、自閉症を引き起こす唯一の要因ではありません。

環境要因(親の責任ではない)も、同様に作用していると考えられます。
未熟児を含む妊娠・出産時の合併症、両親の年齢、出産後1年未満の妊娠、低出生体重児、先天性心疾患などです。
(しかし、これらの要因は自閉症の可能性を高めるものあっても、その子どものほとんどは自閉症ではありません)
一方で、妊娠中の重症感染症や糖尿病などの特定の病状は、子どもの発達障害のリスクを高める可能性があります。

生まれた子どもの遺伝子検査は有効でしょうか?

米国では、自閉症だけでなく、先天異常、頭蓋顔面構造の違い、学習障害、知的障害などの追加の特徴があると診断された子どもは、遺伝子検査が利用できることがあります。
得られる情報はどれも有益ですが、オランダ・ブルービューの発達小児科医でブルービュー研究所の上級臨床科学者であるメラニー・ペナー博士は検査を受けることを決める前に、家族が診断を結果をどう受け入れるのかについて考えるのに時間がかかることはよくあるといいます。

2週間前、私の息子アンドリューは遺伝子検査を受けました。
医療チームは、私たちから詳細な発達歴、病歴、家族歴を聞き、身体検査を行い、2つの遺伝子血液検査を指示しました。

■ フラジャイルX症候群
X染色体上のフラジャイルXメッセンジャーリボ核タンパク質(FMR1)遺伝子に変化があると、自閉症や知的障害、学習障害を引き起こすことがあります。
また、細長い顔、小さなあご、扁平足などの身体的特徴とも遺伝的に関連する可能性があります。

最近まで、フラジャイルXは男性の重度の知的障害や自閉症の原因として最も一般的でした。
しかし、新しい研究では、症状がそれほど重くない人でもFMR1遺伝子に変化があることが分かってきています。

■ マイクロアレイ解析
この検査では、染色体の欠落や余分な部分によって引き起こされる健康状態があるかどうかを調べます。
これらの違いは、自閉症の特徴や特定の精神疾患の指標となることが多くあります。

また遺伝子検査では、研究調査の一環として、あるいは他の徴候がある場合には、個人の全遺伝子構成を決定する全ゲノム配列決定など、より高度な技術を利用することも可能です。

私たち家族は、アンドリューの検査結果を待ち望んでいます。
親にとって、遺伝子検査は我が子の自閉症の原因を説明するのに役立ち、潜在的な追加の健康状態についての情報を得られるものです。
また、検査が治療、療育のアプローチにつながることも増えてきています。
私たち家族は、子どもたちの医療従事者と協力し、子どもたちに与えられる最も輝かしい未来への扉を開くことができるよう、知識を得る必要があると考えています。

(出典:米Today’s Parent)(画像:Pixabay

【質問】
自閉症は遺伝するのか?

【回答】
必ずしも遺伝するものではありません。
遺伝は重要な要因と考えられるものの、自閉症に「関わる」遺伝子変異は親から受け継いだものだけでなく、その半分は受胎時にランダムに起こったものだからです。
そして、そうした遺伝子変異をもっていても、同じ家族でさえ、必ず自閉症になるわけでもありません。
また、自閉症となるのはそうした遺伝要因だけでなく、妊娠中の重症感染症などが例に挙げられる、環境要因も大きいと考えられています。

まとめると、そんなところです。

うちの子は話すこともできませんし、食事、トイレ、着替え、お出かけ、その他日常生活、ほぼ何をするにも介助が必要です。

重度の自閉症です。

もし、それが必ず遺伝して受け継がれるものだったら、進化論的に考えれば、何百万年の人類の歴史においてすでに自然淘汰されているはずです。
とても生き残れません。子孫も残せません。

そんな事実からも、「必ず遺伝する」ことはありえません。

また、遺伝子検査に限らず、新しい感じの「検査」には怪しいビジネスがつきものです。

検査自体は科学的なものであっても、その検査でそもそもそれがわかりましたっけ?というようなものが少なくありません。

必要な場合には、信頼できる医療機関が行っている、目的に正しくあった検査をされてください。

自閉症の原因と考えられること。米コロンビア大の自閉症研究

(チャーリー)


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