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自閉症の遺伝研究に当事者は賛成?不安?当事者の声を聞く調査

time 2025/11/14

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自閉症の遺伝研究に当事者は賛成?不安?当事者の声を聞く調査

この記事が含む Q&A

自閉症の遺伝研究には前向きな支持と不安が混ざるのですか?
はい、遺伝研究には価値を認める声と社会的な影響を心配する声が混在しています。
遺伝を理解する理由として、どんな点が多く挙げられていますか?
自分や家族の理解を深めるためや、特性を理解する材料として知識を得たいという声が多いです。
遺伝研究の情報提供はどうあるべきと示されていますか?
信頼できる情報と丁寧なコミュニケーションが前提で、研究者と社会が対話しながら進めることが重要とされています。

自閉症のことを理解したい、と願う人たちは多いですが、その中でも「遺伝」にまつわる話題は、ときに不安や誤解を生みやすいテーマです。
たとえば、「遺伝子を調べる研究は、自閉症そのものをなくそうとしているのではないか」「検査の結果が差別に使われるのではないか」と感じる人もいます。
一方で、「家族に受け継がれるしくみを知りたい」「自閉症の成り立ちを理解したい」と前向きに受け止める人もいます。

つまり、自閉症の“遺伝”は、希望と不安が混ざり合う、とても繊細な話題です。
では、実際に自閉症の当事者や家族は、遺伝研究をどう考えているのでしょうか。
その答えをていねいに探ろうとしたのが、今回の研究です。

この研究を行ったのは、フリーエ大学アムステルダム、ラドバウト大学医療センター、アムステルダム大学医療センター、カラクター児童青年精神医療センターのグループです。
オランダ国内の自閉症コミュニティと協力して、とても大規模なアンケート調査を実施しました。

研究では、3つのグループの人たちに回答をお願いしました。

・自閉症の診断を受けた成人
・自閉症の子どもを育てる親
・強い支援を必要とする自閉症の成人を支える家族(法的代理人)

合計で2000人を超える人たちが回答し、研究チームは2018年と2023年の2つの時点の結果を比べました。
自閉症の遺伝研究について、人々の考え方が時間とともにどう変わったのかも調べたのです。

ここでまず見えてきたのは、「遺伝」について前向きに受け止めている人が意外に多い、ということです。
当事者の中でも、親や家族の中でも、「自閉症がどのように生まれるのか知りたい」「科学的な知識が増えることは良いことだ」と考える人が多数を占めていました。

研究チームは、「遺伝」を重要だと思う理由をさらに細かくたずねました。
すると、もっとも多かったのは「自分や家族の理解が深まるから」という理由でした。
つまり、原因をさぐるためというよりも、「自分の特性を理解する材料になる」「家族のなかで受け継がれた背景を知りたい」という思いが大きいのです。

さらに研究では、「遺伝について、どれくらい知識があると思うか」という質問も行いました。
ここでは、当事者も親も「まだよくわかっていない」と感じている人が多く、遺伝研究の結果をわかりやすく伝える情報が不足していることが示されました。
研究チームは、自閉症コミュニティ向けの情報提供が「もっと必要だ」と述べています。

また、「遺伝研究が将来どんな影響をもたらすと思うか」という質問では、前向きと不安が入り混じった回答が目立ちました。
たとえば、

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・自閉症の理解が科学的に深まる(前向き)
・将来、遺伝情報を理由にした差別が起きないか心配(不安)

といった声です。
つまり多くの人は、遺伝研究そのものには価値があると思いつつも、それが社会でどう扱われるかを心配しているのです。

もうひとつ重要なのは、時間の経過とともに「遺伝研究への受け止め方が少し変わってきている」という点です。
2023年の回答では、2018年よりも「遺伝についてもっと知りたい」という声が増えていました。
遺伝研究をめぐる社会の議論が広がったことで、関心が高まった可能性があります。

研究チームは、今回の結果から次のような結論を示しています。

「自閉症の遺伝研究は、多くの当事者や家族から支持されている。
ただし、その支持は“信頼できる情報”と“ていねいなコミュニケーション”があることを前提としている。」

つまり、研究者だけでなく、当事者・家族・社会が対話しながら進めることが必要だということです。
遺伝研究が“自閉症を否定するもの”ではなく、“理解を深める手がかり”として受け止められるようにするためには、研究者が社会との橋渡しを続けることが不可欠だと述べています。

自閉症のことを理解する道のりは、簡単ではありません。
けれど、この研究が示したのは、「知りたい」という願いと「誤解されたくない」という気持ちが、当事者にも家族にも共通して存在するということです。

遺伝というテーマが繊細であるほど、そこに寄り添う言葉や対話が求められます。
研究はこうした歩みを進めるためのひとつの材料であり、コミュニティと研究者が手を取り合っていくための大切な道しるべでもあります。

(出典:Autism)(画像:たーとるうぃず)

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(チャーリー)

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