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自閉症の男女差は縮んでいる。35年のデータ調査が示す変化

time 2026/02/05

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自閉症の男女差は縮んでいる。35年のデータ調査が示す変化

この記事が含む Q&A

自閉症の診断率と男女比は年齢や時代とともにどう変化しているのでしょうか?
診断率は過去35年で大幅に増え、診断基準の広がりやスペクトラムとしての理解の定着が主な要因です。
女性の診断が遅れやすい理由にはどんなものがありますか?
カモフラージュと他の精神的困難が先に注目されること、診断基準が男性に寄り添っている可能性が挙げられます。
成人期には男女差はどうなると考えられていますか?
最新データでは累積の男女比が1に近づき、成人期には差がほとんどなくなる可能性があります。

自閉症は、これまで長いあいだ「男性に多い発達特性」として語られてきました。
多くの研究では、男性と女性の比率はおよそ3対1から4対1とされ、「なぜ男性のほうが多いのか」という問いが繰り返し議論されてきました。

今回紹介する研究は、その前提そのものを、静かに揺さぶる内容です。

この研究を行ったのは、スウェーデンのカロリンスカ研究所を中心とした国際的な研究チームです。
研究者たちは、1985年から2020年までにスウェーデンで生まれた約276万人の子どもたちを対象に、国の医療レジストリを用いて長期間追跡しました。
そして、自閉症の診断率と男女比が、年齢や時代とともにどのように変化してきたのかを詳しく調べました。

その結果、まず明らかになったのは、自閉症の診断率がこの35年ほどの間に大きく増えているという事実です。
たとえば10〜14歳の子どもでは、2000年代初めには10万人あたり約50件程度だった診断率が、2020年代初めには10万人あたり500件を超える水準にまで増えています。

これは、「自閉症の人が急激に増えた」というよりも、

・診断基準が広がった
・自閉症を「スペクトラム(連続体)」として捉える考え方が定着した
・社会全体で理解や認知が進んだ

といった要因が重なった結果だと考えられます。
次に注目されたのが、男女比の変化です。

幼い時期、特に10歳未満では、これまで知られてきた通り、男性のほうが女性よりも多く診断されていました。
男女比はおおむね3対1前後です。

ところが10歳を過ぎる頃から、その比率が少しずつ下がっていきます。
思春期に入ると、女性の診断数が増え、男女差が縮まっていきます。

最新のデータ(2020〜2022年)では、15歳を超える年齢層で、男女比が1に近づく、あるいは1を下回る年齢層さえ見られました。

さらに研究者たちは、累積の男女比、つまり「20歳までに診断された人を合計したときの男女比」を計算しました。

2016年時点では、この累積男女比はおよそ1.9でしたが、
2022年には約1.2まで低下していました。

そして、現在の傾向が続けば、2024年には20歳時点での累積男女比がほぼ1(男女同数)になると予測されました。

この結果は、「自閉症は男性に多い」というイメージとは大きく異なります。
研究者たちは、女性が“少ない”のではなく、女性は診断される時期が遅い可能性が高いと考えています。

なぜ、女の子や女性は遅れて診断されやすいのでしょうか。

ひとつの理由として挙げられているのが、「カモフラージュ」と呼ばれる行動です。
周囲の人の話し方や表情、ふるまいを観察し、それをまねることで、困りごとが表に出にくくなることがあります。

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また、不安やうつ、摂食の問題、強いこだわりなど、別の精神的な困難が先に注目され、自閉症の特性が背景にあることに気づかれにくいケースもあります。
このような「診断の影に隠れてしまう現象」は、以前から指摘されてきました。

さらに、これまでの診断基準や評価方法が、男性に多く見られる特徴をもとに作られてきた可能性もあります。
そのため、女性に多い表れ方が拾われにくかった可能性があります。

研究者たちは、こうした社会的・文化的要因と、生物学的な要因の両方が重なって、現在の男女比が形づくられていると考えています。

この研究が伝えている大きなメッセージは、次の点です。

自閉症の男女比は、固定されたものではありません。
年齢や時代とともに変化します。
そして成人期には、男女差がほとんどなくなる可能性があります。

これは、「男性に多い特性」という単純な理解から、「多様な形で現れる人間の特性」へと視点を移す必要があることを示しています。

また、支援のあり方にも重要な示唆を与えます。

幼少期のスクリーニングだけでなく、思春期や成人期になってからでも、「もしかすると自閉症の特性が背景にあるかもしれない」という視点を持つことが大切になります。

これまで気づかれなかったのは、その人の努力不足ではありません。
社会や医療の側が、まだ十分に理解できていなかった可能性があります。

自閉症のある人の姿はひとつではありません。
静かで目立たない困りごともあれば、外からは見えにくい工夫やがんばりもあります。
この研究は、そのことを教えてくれています。

(出典:bmj DOI:10.1136/bmj-2025-084164)(画像:たーとるうぃず)

「2024年には20歳時点での累積男女比がほぼ1(男女同数)になると予測」

「成人期には、男女差がほとんどなくなる可能性」

これまで「常識」とされていたことを覆す予測です。

見過ごされてきた女性の方たち。

支援を必要とする方に適切な支援がとどくよう願います。

自閉症の女性がカモフラージュの裏で抱える不安と自殺念慮

(チャーリー)

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