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自閉症の子を育てる親の苦しさは子どもだけが原因ではない

time 2026/02/25

この記事を読むのに必要な時間は約 7 分です。

自閉症の子を育てる親の苦しさは子どもだけが原因ではない

この記事が含む Q&A

自閉症の子を持つ親が感じるつらさにはどんなものが多いですか?
PTSD関連症状が最も多く、母親は抑うつ・不安・眠れないなど、父親は眠れない・イライラしやすいといった傾向が目立ちます。
親のつらさは子どもの状態だけで決まるのでしょうか?
いいえ、子どもの困難さだけでなく親自身の特性(会話のニュアンスを読み取る難しさ等)も影響し、支援はそれに合わせるべきです。
効果的な支援はどうあるべきですか?
親の特性を前提にした支援と、ストレス対処だけでなく日常のコミュニケーション支援を組み合わせることが重要です。

子どもが自閉症と診断されたとき。

多くの親が、まず考えるのはこういうことではないでしょうか。

「この子を、どうやって守ればいいだろう」
「この子は、この先どうなるのだろう」
「私に、ちゃんと育てられるだろうか」

毎日の生活は、想像以上に大変です。予定通りにいかないこと。急なかんしゃく。眠れない夜。学校や周囲とのやり取り。将来への不安。

けれど、その中で、親自身の心はどうなっているのでしょうか。

今回ご紹介する研究は、自閉症の子どもを育てている「親の心の状態」を、ていねいに調べたものです。研究は、韓国のソウル大学ブンダン病院で行われた大規模な家族研究のデータを使って行われました。対象は、自閉症の子どもを育てている232家庭、父母あわせて464人です。

まず、数字をお伝えします。

親の約29%、つまりおよそ3人に1人が、強い精神的なつらさを抱えている可能性がある状態でした。

父親では約23%。
母親では約35%。

母親のほうがやや高い割合でした。

これは「親が弱い」という話ではありません。

それだけ、子育てが大きな負担になっている可能性がある、ということです。

では、どんなつらさが多かったのでしょうか。

一番多かったのは、「PTSDに関連する症状」でした。

PTSDというと、大きな事故や災害を思い浮かべるかもしれません。しかしここで測られているのは、

・つらい出来事を急に思い出してしまう
・思い出すと強い不安を感じる
・それを思い出させる人や場所を避ける

といった状態です。

毎日の中で繰り返される強いストレスや衝撃的な出来事が、心に残り続けている可能性があります。

母親では、これに加えて、

・うつ症状
・自殺念慮
・強い不安
・対人関係で傷つきやすい感覚

なども多くみられました。

父親では、

・眠れない
・イライラしやすい
・体の不調としてストレスが出る

といった傾向も目立ちました。

ここまで読むと、

「やっぱり子どもの症状が大変だからでは?」

と思われるかもしれません。

実際、子どもの困りごとが強いほど、親のつらさも強い、という傾向はありました。

たとえば、

・子どもの不安や落ち込みが強い
・かんしゃくや攻撃的な行動が多い
・社会的な困難が大きい

こうした場合、親のストレスも高くなる傾向がありました。

しかし、この研究でいちばん重要だったのは、ここから先です。

子どもの状態だけでは、説明できなかったのです。

子どもの要因と、親自身の要因を同時に考えたとき、強く残ったのは「親自身の特性」でした。

研究では、親の中にどのくらい自閉症に関連した特性があるかも測っていました。

ここでいう特性とは、

・人づきあいが少し苦手
・強いこだわりがある
・会話のニュアンスや暗黙の意味をつかむのが難しい

といった、軽いけれど質的に似ている特徴です。

特に強く関係していたのは、「会話のニュアンスを読み取ることの難しさ」でした。

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父親でも母親でも、この特性が強いほど、

・ストレスに強く反応しやすい
・落ち込みやすい
・感情のコントロールが難しい

という傾向がはっきり出ていました。

これは、とても大切なポイントです。

自閉症は遺伝的な要素が関係していることが知られています。そのため、子どもだけでなく、親にも似た特性がみられることがあります。

もし親が、

・人に相談するのが苦手
・気持ちをうまく言葉にできない
・周囲とのやり取りで誤解されやすい

という特性を持っていたとしたら。

子育てのストレスをひとりで抱え込みやすくなるかもしれません。

また、父親ではひとつ特徴的な結果がありました。

子どもの「外に向かう困りごと」、つまりかんしゃくや攻撃的な行動が強い場合、父親のメンタルヘルスに強く影響していました。

父親は、こうした目に見えやすい行動に強く反応しやすい可能性が示されています。

一方、母親では、

・年齢が高い
・教育年数が長い

ことが、心の安定に少しプラスに働いていました。人生経験や学びが、支えになっている可能性があります。

この研究は、「子どもが大変だから親が苦しくなる」という単純な話ではないことを示しています。

親自身の特性も、深く関わっている。

だからこそ、支援も変わる必要があります。

今ある支援の多くは、

・ストレス対処法
・気持ちの受け止め方
・リラックス法

といった内容が中心です。

もちろんそれも大切です。

けれどもし、親自身にコミュニケーションの難しさやこだわりの強さがあるなら、その特性に合わせた支援が必要かもしれません。

「もっと頑張りましょう」ではなく、
「あなたの特性を前提に、どう支えるか」。

それが本当の意味での家族支援かもしれません。

そして何より、この研究が伝えているのは、

親の心も、ケアされるべき存在である

ということです。

子どものために必死に動いていると、自分のつらさは後回しになります。

でも、親が倒れてしまったら、家庭全体が揺らぎます。

「最近、なんだかつらい」
「イライラが止まらない」
「眠れない」

もしそう感じているなら、それはあなたが弱いからではありません。

研究が示している通り、それはとても自然な反応かもしれないのです。

子どもを支える親もまた、支えられていい。

そのことを、あらためて思い出させてくれる研究でした。

(出典:Journal of Autism and Developmental Disorders DOI: 10.1007/s10803-026-07255-x)(画像:たーとるうぃず)

終わりが見えない、ずっと続くマラソンです。

私は、うちの子の笑顔を一番優先して楽しくすごしてきました。

無理したり、責めたりしても、いいことはありません。

自分だけでなく、子どもにとっても。

自閉症と診断された親のこころに起きている見えないPTSD

(チャーリー)

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