新しい研究によれば、発達障害である自閉症の人は１２歳から２３歳までに認知能力について著しい改善を示しますが、自閉症の特徴に変化はありません。
自閉症の若者についての追跡調査によるこのイギリスの研究では、特別支援学校のような専門の学校に通う自閉症の人よりも通常の学校に通う自閉症の人のほうが２３歳の時点で、よりよい社会的スキルを持っていることも示唆しています。
この研究では、学校の種類が社会的スキルに影響を与える理由について説明していませんが、これまでの研究では通常の学校に通うほうが、IQに関わらず、学業の成績が向上していることが示されています。
英キングス・カレッジ・ロンドンの児童精神医学のエミリー・シモノフ教授によれば、通常の学校は自閉症の子どもたちに、自閉症でない人たちの世界で過ごすための生活上の課題を学ぶことにつながる社会的な環境であるといいます。一方で、自閉症の子どもたちは自分の特性を隠す可能性もあるともいいます。
「独立した事柄ではなく、それらは相互に作用している可能性があるでしょう」
今回の研究では、１５８人の自閉症の子ども、若者たちを追跡調査しました。
１２歳、１６歳、２３歳の時点で、IQの評価と自閉症の特徴についての親からの評価を行いました。
１２６人が２３歳時点での評価を行い、研究の参加が終了しました。
「長い間、追跡したことは需要な点でしょう」
そう、この研究に参加していないロンドン大学の認知発達のエミリー・ジョーンズ教授は言います。
「大規模な研究とは言えませんが、これまでの類似の研究に比べれば多数が参加しています」
IQテストは、年齢にあわせて調整されるため一般には生涯にわたって変化することはありません。
しかし、自閉症の人たちは自閉症の特徴に変化はなかったものの、IQは年齢とともに向上していたことが今回の研究でわかったのです。
幼少期に言語スキルの退行があったと親が報告した自閉症の３５人たちは、最も大きくIQの増加を示しました。
自閉症の人たち全員の平均では７ポイントの増加であったのに対し、１３ポイント増加していました。
この研究結果は、”the Journal of the American Academy of Child & Adolescent Psychiatry”に掲載されています。
この研究を行ったエミリー・シモノフ教授はこう言います。
「最も妥当だと私が考える理由は、退行した子どもも、持っている発達の進み具合の曲線は自閉症でない子どもと変わらないということです。
自閉症によって、この曲線が混乱させらたのです。
思春期を通じて、徐々にこの曲線が戻ってきたのです」
幼児期に退行を示した自閉症の人は、そうでない自閉症の人と比べても発達の進み具合が異る可能性があるといいます。
一方で、英ロンドン大学ユニバーシティカレッジの認知発達のユタ・ファース名誉教授は別の理由を唱えます。
「IQテストは社会的な要因が影響します。
そのために幼い自閉症の子どもは、出された問題を正しく理解できていない可能性があります。
結果として、IQスコアが最初の年齢では低くなる可能性があります」
（出典：米SPECRUM）（画像：Pixabay）
IQテストの特性からそうした結果になる可能性が指摘されているものの、
発達障害、自閉症の子をもつ私としては、大きくなってもIQが高まるかもしれないというのはうれしく思います。
わずかならでも、徐々にできることが増えていっているので、それがずっと続いてほしいですから。
発達障害の子の人との関わりを変える、そうでない子との取り組み
（チャーリー）
